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ザンビア大統領選後、野党幹部宅への強制捜査で元閣僚が死亡

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ザンビアで現地の8月13日に実施された大統領選の翌日、野党指導者ブライアン・ムンドゥビレ氏の自宅で治安部隊が実施した強制捜査中に、元閣僚のムトトウェ・カフワヤ氏(49)が銃撃され死亡した。警察は現地の8月19日、同氏の死亡を確認したと発表した。政府はこの作戦を、国家の安全に「重大な脅威」を及ぼす武装集団を摘発するためのものだったと説明している。

何が起きたのか

警察の発表によると、治安部隊はムンドゥビレ氏の自宅で合同作戦を実施した際、身元不明の人物からの銃撃と抵抗に遭い、応射した。その結果、身元不明の男性1人が死亡し、現場では銃器が押収されたという。当局は後に、この死亡した男性が元閣僚で野党の国会議員だったカフワヤ氏だと確認した。作戦では11人が拘束され、このうち3人は豊富な軍歴を持つ元特殊部隊員だったと警察は説明している。

ムンドゥビレ氏は、作戦が自身の自宅で行われたこと、カフワヤ氏が銃撃を受けたことを明らかにした一方、当初は同氏の安否を把握できなかったと述べている。ムンドゥビレ氏は自らの陣営が武装蜂起や民兵活動に関与したとの疑いを否定し、拘束された人物の中には自身の警護担当者や野党関係者も含まれていたとしている。作戦後、ムンドゥビレ氏自身は身を隠したという。カフワヤ氏の家族は当局に対して同氏の所在と安否についての情報開示を求めていた。

この選挙で現職のハカインデ・ヒチレマ大統領は選挙管理委員会の集計で約60%を得票し再選を決めた。ムンドゥビレ氏は約38%で次点となり、選挙戦で「重大な不正」を確認したとして、結果を法廷で争う方針を示している。国際監視団も、脅迫や拘束、拉致、暴力に関する野党側の訴えを踏まえ、投票の実施過程に懸念を示している。国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は当局に対し、恣意的な拘束をやめ、拘束者のデュープロセス(法に基づく適正な手続き)の権利を完全に尊重するよう求めた。

カフワヤ氏は2016年から2021年にかけて、当時の与党パトリオティック・フロント政権下で閣僚を務めた人物で、ヒチレマ氏の第1期政権下では野党議員として活動していた。

背景

ザンビアは南部アフリカの内陸国で、銅の輸出に経済を大きく依存している。ヒチレマ氏は2021年の選挙で、経済的な行き詰まりへの不満を追い風に当選し、債務再編などの経済改革を進めてきたとされる。今回は再選を果たしたものの、投票をめぐっては集計が一時中断されるほどの混乱や暴力が伝えられており、選挙の公正さそのものに疑問符がついている状況とみられる。

アフリカでは近年、現職大統領が選挙で圧勝したのちに、敗れた野党指導者やその関係者への締め付けが強まる例がたびたび報告されている。今回のように、選挙直後の治安作戦の中で野党幹部の自宅が強制捜査を受け、そこで著名な野党関係者が死亡するという事態は、単なる治安維持の枠を超え、野党勢力の弱体化を狙ったものではないかという見方を国際社会に招きやすい。政府側は武装集団の摘発という治安上の理由を掲げているが、拘束された人物の内訳や、なぜ元閣僚が現場にいたのかなど、詳しい経緯はなお明らかになっていない。

日本にとっての意味

ザンビアの政局は日本のメディアではほとんど報じられておらず、今回のような事件は見過ごされがちだが、アフリカにおける「選挙後の民主主義の後退」がどのような形で進むのかを示す具体例として知っておく価値がある。選挙で勝敗が決まった後に、治安部隊による捜索や拘束を通じて野党側が圧力を受け、死者まで出るという展開は、選挙という民主的な手続きの結果が、その後の統治のあり方を保証しないことを物語っている。

実務的な接点としては、ザンビアは世界有数の銅産出国であり、電気自動車や電子機器に使われる銅の供給網の一角を占めている。日本企業も資源開発やインフラ整備の分野でアフリカ諸国との関係を広げており、政情不安が長期化すれば、こうした経済関係やサプライチェーンの安定にも影響しうる。また日本は近年、TICAD(アフリカ開発会議)などを通じてアフリカとの外交関与を強めてきた経緯があり、各国の人権状況や選挙後の統治のあり方は、今後の対アフリカ外交や援助を考える上での判断材料になる。