中国とエジプト、空軍合同演習を2年連続で実施
中国とエジプトの空軍が、現地時間の8月中旬から9月上旬にかけてエジプト国内で合同演習を実施する。演習名は「Eagles of Civilization(文明の鷲)2026」で、昨年に続く2回目の開催となる。中国国防省が発表した。
何が起きたのか
中国国防省によると、今回の演習では空中戦闘の戦術訓練、制空権(空を押さえて相手の航空機の活動を封じること)をめぐる作戦、戦闘捜索救難(撃墜された操縦士などを敵地に近い場所から救出する訓練)、そして両国部隊を組み合わせた運用訓練が予定されている。中国国防省の報道官は、この演習について「相互の信頼と伝統的な友好関係を一段と深め、両軍の実質的な協力を強化し、地域の平和と安定に貢献するものだ」と述べた。
昨年に初めて実施されたこの演習が、名称と枠組みを維持したまま2回目を迎えたことは、単発の親善訪問とは違う意味を持つ。同じ演習が繰り返されるのは、両国の軍がこの演習を定期的な協力の枠組みとして位置づけつつあることを示すものといえる。
背景
エジプトは長年、米国から多額の軍事支援を受けてきた中東の主要な安全保障パートナーとされてきた。ただ近年は、装備調達や軍事協力の相手先を一国に依存せず複数国に広げる動きがあるとみられ、中国やロシアとの関係も徐々に深まってきたという指摘がある。中国側から見ても、アフリカ大陸における軍事的なプレゼンス(存在感)を広げる動きは近年目立っており、港湾整備や訓練協力といった形で足場を築いているとされる。
両国が演習名に「文明」という言葉を選んだ点も象徴的だ。中国は自らを悠久の文明国として位置づける外交姿勢をたびたび示しており、古代文明の地であるエジプトとの結びつきを強調する狙いがあるとみられる。もっとも、こうした演習が今後どこまで継続的な軍事協力に発展するかについて、現時点で断定できる材料は乏しい。
日本にとっての意味
エジプトを通るスエズ運河は、日本と欧州を結ぶ海上輸送路の要衝であり、日本の海運会社が扱う貨物もこの航路を利用している。近年は紅海周辺の情勢不安により、船会社が喜望峰を回る迂回航路を選ばざるを得なくなった例もあり、その場合は輸送日数や運賃が増える傾向があるとされる。今回の演習そのものが直ちに航行の安全に影響するわけではないが、この地域で軍事的な結びつきが積み重なっていく構図は、輸送路の安定を左右する要因の一つとして見ておく価値がある。
一つ一つの演習は小さな出来事に見えても、それが繰り返され定着していく過程は、日本の海上輸送路に近い地域の安全保障環境を理解するうえで見過ごせない情報といえる。