感染症・健康

コロナ流行初期、女性の月経異常と感染・ストレスに関連か

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米国の研究チームが、新型コロナウイルスの流行初期に月経周期の乱れや不正出血を訴える女性が多かったという報告を、データで裏付ける調査結果を発表した。感染歴のある女性や強いストレスを感じていた女性ほど、こうした症状を報告する割合が高かったという。

何が起きたのか

この調査は米マイアミ大学の研究者らが中心となってまとめ、7月21日付で医学誌「BMC Infectious Diseases」に掲載された。対象は米国南部に住む18歳から45歳の女性188人で、子宮内膜症など月経異常の原因となりうる持病がある人はあらかじめ除外されている。対象者の61%はHIV陽性者で、コロナ検査やワクチン接種歴、月経の変化、ストレスの度合いなどについて回答した。

回答者のうち69%が過去にコロナ感染歴があると答えた。研究チームによると、月経周期が早まったり遅れたりする、あるいは月経期間以外に出血がみられるといった「異常子宮出血」を経験した人は、HIV感染の有無にかかわらず全体の半数近くにのぼった。これはパンデミック以前に報告されていた発生率より高い水準だったという。感染歴があり、かつHIV陰性の女性で異常出血の報告がより多く、強いストレスを感じていた女性でも同様の傾向がみられた。ただし、コロナに感染したことがない女性でも異常出血を経験した人はいたと報告されている。

研究チームは、この出血の変化自体は健康に害を及ぼすものとは考えられないとしつつ、今回の知見は今後別の新しいウイルス感染症が流行した場合にも、月経パターンに影響が及ぶ可能性を示唆すると述べている。

背景

コロナ流行初期には、感染した女性やワクチンを接種した女性から月経の変化を訴える声が世界的に相次ぎ、メディアでも取り上げられたとされる。過度なストレスや睡眠不足、栄養状態の悪化がホルモンバランスや月経周期に影響しうることは、コロナ以前から知られている一般的な知見だ。パンデミック下では、外出制限や生活の変化に伴う心理的ストレスや、食料の入手しにくさ、睡眠の乱れといった要因が同時に重なっていた可能性がある。研究チーム自身も、流行時にはメディア報道の影響で女性が自分の月経パターンにより注意を向けやすくなっていた可能性を指摘している。今回の結果を単純にウイルス感染単独の作用と解釈するのは難しい。

日本にとっての意味

この調査が月経異常との関連を示したのは、ワクチン接種ではなく、ウイルスへの感染歴とストレスの度合いである点に注意が必要だ。感染歴は本人の自己申告に基づいている。また、感染や強いストレスと月経異常の間に「関連がみられた」というのが調査結果の中身で、感染が月経異常を引き起こしたと証明されたわけではない。対象時期もパンデミック初期に限られ、現在の感染状況や変異株には必ずしも当てはまらない。

日本でも、国立成育医療研究センターが月経管理アプリ利用者約1万人のデータを解析し、ワクチン接種後に半日から1日程度の一時的な月経周期の遅れがみられたと報告しているほか、岡山大学の研究チームはコロナ後遺症の女性の約2割が月経異常を訴えたと報告している。今回のような相関関係を示す研究は、感染症の流行が身体的な症状だけでなく、生活環境の変化やストレスを通じて間接的に健康へ影響しうることを示す一例といえる。次に別の新興感染症が流行した際、月経を含む女性の健康状態の変化に目を向ける必要性を考えるうえで、参考になる知見だろう。