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ニューヨークの独高層ビル「ジャーマン・ハウス」、外壁と内装を刷新へ

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ドイツの建築事務所ザウアブルッフ・ハットン(Sauerbruch Hutton)と米国の建築事務所スタジオ・ギャング(Studio Gang)が、米ニューヨーク・マンハッタンの国連本部のすぐ北に立つ高層ビル「ジャーマン・ハウス(German House)」の改修設計者に選ばれた。外壁の張り替えと内装の設計し直しにより、ドイツという国の価値観を映す「市民的ランドマーク」を目指す。英国のデザイン媒体Dezeenが2026年8月13日付で伝えた。

何が起きたのか

ジャーマン・ハウスは高さ325フィート(約99メートル)の高層ビルで、1990年代に米SLCE Architectsの設計で建てられ、ドイツ連邦共和国総領事館の活動拠点となっている。審査員による選考の結果、ザウアブルッフ・ハットンが意匠設計を、スタジオ・ギャングが実施設計・監理を担う「アーキテクト・オブ・レコード」を務める体制が選ばれた。両事務所は、現在の灰色の外観を明るくする、色の帯をまとったファサード(外壁面)を構想している。

計画では、外壁に太陽光発電パネルを組み込むとともに、日よけと、窓を開けての自然換気を可能にするボックスウィンドー方式の開口部を検討する。これらの改修は、注目度の高い外交施設に求められる厳重な警備水準を保ったまま進めるという。内部も一新し、タワー中層に垂直庭園を備えた「スカイロビー」を設けて総領事館と国連代表部の交流の場とするほか、上層階のレストランは日陰のある庭園スペースに開く。

背景

両事務所が強調するのが、建て替えではなく改修を選んだことによる二酸化炭素排出の抑制だ。ザウアブルッフ・ハットンのパートナー、リナ・ラヒリ(Lina Lahiri)氏は「置き換えるのではなく丁寧に作り変えることで、タワーは部門を越えた交流を促すよう改められ、建物の寿命はこの先何十年も延びる」と述べた。チームは、市民に開かれた存在感と技術的な効率を組み合わせ、「持続可能な建設におけるドイツの最新の工学技術を、世界の観衆の前で示す」としている。スタジオ・ギャング創設パートナーのジーン・ギャング(Jeanne Gang)氏は「文化交流を核に据えたこのプロジェクトは、ドイツの設計の知見と、ニューヨークでの確かなプロジェクト遂行力を結び付ける、心躍る機会だ」と語った。

今回はザウアブルッフ・ハットンにとって米国で初めてのプロジェクトとなる。マンハッタンでは近年、SOMによる名建築リーバー・ハウスの改修や、エーロ・サーリネン設計の「ブラック・ロック」の改修など、著名な高層ビルを壊さず改修する動きが相次いでいる。

日本にとっての意味

築約30年のビルを壊さず、外壁ごと刷新して使い続けるという選択は、建て替えが主流の日本と対照的だ。東京では黒川紀章設計の中銀カプセルタワービル(1972年竣工)が2022年に解体されるなど、戦後の名建築でも保存より建て替えが選ばれる例が続いてきた。改修で二酸化炭素排出を抑えながら建物の寿命を延ばすジャーマン・ハウスの方針は、高度成長期以降に建った高層ビルが更新期を迎える日本の都市に、解体以外の道筋を示す実例になる。

外壁への太陽光発電の組み込みにも接点がある。東京都は2025年4月から、大手事業者が新築する住宅などへの太陽光パネル設置を義務付けたが、対象は新築が中心で、既存の高層ビルの壁面に発電を組み込む例はまだ少ない。厳しい警備要件を持つ外交施設で壁面発電と自然換気を両立させようとする今回の計画は、既存ビルの脱炭素改修を考えるうえで技術的な参考例といえる。