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コロンビア地震、保護指定文化財40件に被害 政府が初報告

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コロンビア文化省は現地時間8月14日、同国西部を襲ったマグニチュード7.4の地震による文化財被害の初の公式報告書を公表した。震源に近い7県を対象にした調査で、国指定の文化財40件に何らかの被害が確認され、うち22件は深刻な損傷を受けていた。国指定を受けていない教会など84件の被害も別途記録されている。

何が起きたのか

地震は日本時間8月10日夜(現地時間同日朝)、コロンビア西部チョコ県サンホセ・デル・パルマルを震源として発生した。政府の最新発表では死者304人、負傷者4548人にのぼる。文化省の報告書によれば、国指定文化財40件のうち22件が「深刻な被害」、13件が「中程度の被害」、5件が「軽度の被害」を受けた。国指定はないが歴史的・宗教的に重要な建造物など84件の被害も確認され、このうち39件は教会などの宗教施設だった。

被害が最も集中したのはバジェ・デル・カウカ県で、40件のうち23件がこの県に位置する。県都カリ市だけで11件の被害が報告され、行政庁舎のパラシオ・ナシオナルや大聖堂、市立劇場、病院などが含まれる。植民地時代の街並みで知られるポパヤン市の歴史地区も被害を受け、教会の一つは深刻な損傷を負った。マニサレス市では、コロンビアで最も高い教会として知られる大聖堂の側塔が、通行人の目の前で崩落したという。ほかにもアンティオキア県のハルディン中央広場やシスネロス駅、メデジンの旧県庁舎など計6件が報告に含まれている。

報告書はさらに、被災地域にある15の歴史地区のうち12地区が被害を受けたとし、ユネスコ世界遺産に登録されている「コーヒー文化的景観(Coffee Cultural Landscape)」への影響にも言及した。51の自治体にまたがるこの地域では、都市部の6割以上で深刻な被害が確認され、震源に近いセビージャ、エル・カイロ、エル・アギラの各地区では被害率が最大8割に達したという。文化省はこれを受け、危険な部材の撤去やひび割れた壁の補強、屋根の応急保護などを認める緊急措置を6か月間の期限付きで発動した。報告書には含まれていないが、コーヒー文化的景観に隣接するペレイラ市の美術館が壁の崩落などで閉鎖に追い込まれたと米メディアが報じている。

背景

コロンビアは環太平洋の地殻活動が活発な地域に位置し、地震が比較的頻発する国として知られる。今回の地震は、右派の新大統領アベラルド・デ・ラ・エスプリエジャ氏が就任してわずか3日後に発生しており、政権発足直後の危機対応の試金石になっているとみられる。文化省を率いるパオラ・オルギン新文化相は「芸術家や職人、クリエイターを含む被災した全ての人々に連帯を送る」との声明を出し、今後の復興作業への協力を呼びかけた。

「コーヒー文化的景観」は、コーヒー栽培と伝統的な建築様式、農業の営みが何世代にもわたって地域の風景を形づくってきたことが評価され、ユネスコ世界遺産に登録された地域である。今回の地震はこの地域の都市部にも広範囲な被害を及ぼしており、単なる建造物の損壊にとどまらず、地域の生活基盤や文化的な営み全体への影響が懸念される。文化界からも独自の支援の動きが出ており、メデジン近代美術館は自館イベントの収益の一部をカリの美術館に寄付すると発表したほか、複数の画廊やアーティストが共同でオンライン販売企画を立ち上げ、これまでに5億7500万コロンビアペソ超を集めたという。

日本にとっての意味

日本も世界有数の地震国であり、地震後の文化財被害をどう把握し復旧につなげるかは長年の課題である。今回コロンビア文化省は、地震発生から4日で国指定文化財の被害状況を一覧化した報告書をまとめ、被害の程度別に分類したうえで、危険箇所の応急処置を認める緊急措置まで打ち出した。これは、被災直後の限られた時間の中でどこまで迅速に文化財の被害を可視化し、応急保護につなげられるかという点で、日本の災害後の文化財調査のあり方を考えるうえでの比較材料になる。

また、ユネスコ世界遺産に登録された地域が地震で広範囲に被害を受けた事例としても注目に値する。日本国内にも文化的景観として登録された世界遺産があり、建造物単体だけでなく、農業や生業と結びついた景観全体が災害でどのような影響を受けうるかを考えるうえで、今回のコーヒー文化的景観の被害は参考になる事例といえる。