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KKKが建てた劇場を、標的にされた側が買い取って劇場に戻す 米テキサス

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米テキサス州フォートワースで、1924年に白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)が講堂として建てた建物を、芸術文化の拠点へ改修する設計案が7月に公表された。所有するのは、KKKに標的にされてきた人々の団体でつくる連合体で、2021年に取得していた。着工は2027年夏、開業は2028年冬を見込む。

何が起きたのか

設計を担当するのはStudio Barnes、Ch_studio、GFFの3事務所と、ランドスケープのJIMA Studio。延べ床面積は約3,251平方メートルで、歴史地区ヒストリック・ノースサイドとダウンタウンの間に建つ。3層に250席の劇場、ダンスのリハーサル室、教室、ギャラリー、バーとカフェ、屋外の円形劇場が入る。施設はTransform 1012 Center for Arts and Community Healingと名づけられている。

既存のれんが壁を残したうえで内部を組み替え、耐候性鋼、筋の入ったコンクリートパネル、穴あきの金属スクリーンを差し込む。内外に新しい視線と通路を通し、敷地全体を貫かせる。かつてこの建物が威圧と分断のために設計されていたことへの、意図的な反転である。

チームは共同声明で「中心的な課題は、人種的暴力によって定義された建造物を、地域社会と再生の触媒にどう変えるかを見きわめることだった」と述べた。

「この場所の暗い歴史は建物を取り壊す強い理由になり得たが、私たちの設計は過去を消すのではなく過去と向き合うことを目指している」とも述べ、計画を修復的正義の実践だと位置づけている。

2階のギャラリーは北テキサスの人種関係の歴史に充て、1921年にフォートワースでリンチされた黒人男性フレッド・ラウスの記憶を掲げる。ラウスは食肉処理場の非組合員労働者で、ストライキ中の白人に刺されて入院し、その病棟から白人およそ30人に引きずり出されて殺害された。タラント郡で記録に残る唯一の黒人へのリンチである。

ランドスケープはアフリカ系ディアスポラ、先住民、メキシコ系ディアスポラの伝統を踏まえる。廃材の再利用も進め、195トン超を埋め立て処分から転用したという。

背景

KKKは1860年代後半にテネシー州で結成され、秘密結社としての活動と公然たる暴力の誇示を使い分けてきた。標的の中心は黒人だが、それだけではない。施設が対象に据えるのは、黒人、カトリック教徒、ヒスパニック系、移民、ユダヤ人、性的マイノリティという、KKKの暴力と排除にさらされてきた人々である。

建物は1924年、KKKの支部クラヴァーン101の講堂として着工した。火災で損傷したのち1925年に再建され、正面に縦長の窓が5つ並び、舞台の上には吊り機構を備えていた。つまり最初から劇場であり、そこで差別的な演目が上演されていた。KKKは1927年に退去し、建物は地元の百貨店に売られてダンスマラソンやレスリングの会場になった。1946年から1999年まではエリス・ペカン社の倉庫で、その後20年以上空き家だった。

2021年、地元団体トランスフォーム1012・N・メイン・ストリートが、前所有者からの寄贈と地元財団の助成を得て建物を取得した。連合体にはSOLバレエ・フォルクローリコやウェルマン・プロジェクトなどの団体に加え、活動家のオパール・リー氏が名を連ねる。リー氏は1926年生まれの元教員で、12歳だった1939年6月19日、一家が白人ばかりの地区に家を買った数日後に、押し寄せた白人およそ500人に家を焼かれている。奴隷解放を記念するこの日を連邦の祝日にする運動を続け、2021年に実現させた。

日本にとっての意味

加害の歴史を持つ建物を壊すか残すかは、日本でも繰り返し問われてきた。ただしフォートワースの事例で際立つのはそこではない。標的にされてきた側が建物を所有し、運営し、何を語るかを決めている点にある。

日本では、負の歴史を持つ場所の保存と説明を、国や自治体、企業、大学が担うことが多い。所有と説明の主体が、その歴史で傷を負った側と一致しない。端島(軍艦島)はその難しさが表面化した例だ。2015年に「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された際、日本政府は、意思に反して連れてこられ厳しい環境で働かされた朝鮮半島出身者がいたことを認め、犠牲者を記憶にとどめる措置を取ると表明した。だが2020年に東京・新宿へ開設された産業遺産情報センターの展示は、差別はなかったとする元島民の証言を前面に置いており、2021年の世界遺産委員会は強い遺憾を表明する決議を採択した。

建物を残すこと自体が、和解の証明になるわけではない。誰が所有し、誰が説明を書くのかによって、同じ建物がまったく違う意味を持つ。KKKの劇場が標的にされた側の劇場に戻るという計画が2028年にどう着地するかは、日本で同じ問いを抱える場所にとっても参考になる。