気候・災害

米2大貯水池が観測史上最低水位、コロラド川流域で渇水深刻化

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米国最大の貯水池ミード湖と、これに次ぐ規模のパウエル湖が、2026年8月に相次いで観測史上最低の水位を記録した。両湖はコロラド川にあり、米南西部7州の約4000万人の生活用水と、約2万2258平方キロメートルに及ぶ農地の用水を供給している。専門家は気候変動、人口増加、過剰な水利用が重なった結果だと指摘している。

何が起きたのか

英気候専門メディアCarbon Briefによると、パウエル湖は現地時間8月15日に水位1072.87メートルを記録し、これまでの最低記録を更新した。その約1週間前の現地時間8月7日には、ミード湖が水位317.11メートルという過去最低を記録したばかりだった。

ミード湖は1935年、フーバーダムの建設によって貯水が始まった人造湖で、満水時の水位は347.60メートル。パウエル湖の満水時の水位は1127.76メートルで、1980年代には満水になったことがあるものの、それ以降は一度も満水に達していない。両湖を合わせた満水時の貯水容量は680億立方メートルにのぼり、これは米本土の全世帯の水消費量を1年半近くまかなえる量だという。

米ユタ州立大学コロラド川研究センターのジャック・シュミット博士はCarbon Briefの取材に対し、山岳地帯の積雪が解け始める来春まで、両貯水池の水位は基本的に下がり続けるとの見通しを示した。「今はまだ8月半ばに過ぎず、今度の冬がどうなるか全く分からない。確実なのは、来年4月初めごろまで流域全体の貯水量が減り続けるということだけだ」と述べている。

背景

コロラド川の水量は20世紀初頭以降、上流域で約20%減少しており、この減少の半分は人為的な気候変動によるものとみられるという研究がある。川の流量の大半は、コロラド、ユタなど西部5州にまたがる上流域の積雪に由来するが、この地域は四半世紀以上にわたり歴史的な「メガドラウト(megadrought、数十年規模で続く極端な干ばつ)」に見舞われている。2020年の研究によれば、2000年から2018年にかけてのこのメガドラウトの深刻さの半分近くは気候変動によって説明できるという。

同時に、米南西部の人口増加も水需要を押し上げてきた。コロラド川水系から水の一部または全部を得ている人口は、1992年以降で1500万人、割合にして約60%増えたとされる。シュミット氏は、根本原因は温暖化する気候であり、目先の原因は、変動する気候に見合った速さで政策が決まらない米国の民主的な政治過程にあると説明する。

米西部の水資源を管理する開発局(Bureau of Reclamation)は現地時間7月31日、2026年以降のミード湖・パウエル湖の管理戦略に関する環境影響評価書を公表した。戦略そのものはまだ発表されていないが、シュミット氏によれば、危機的な状況に応じて複数の州への配水を減らせる柔軟性を開発局に持たせる内容になっているという。ただし同氏は、21世紀の気候モデルの多くが今後も厳しい乾燥状態が続くと示しており、その場合はこの対応策も機能しないと開発局自身が認めていると付け加えた。

日本にとっての意味

コロラド川流域は、カリフォルニア州やアリゾナ州など米国有数の農業地帯を支えており、レタスやアルファルファ(牧草)、綿花などの産地としても知られる。この地域の水不足が長期化すれば、農産物の生産量や価格を通じて、輸入農産物に頼る日本の食卓にも間接的な影響が及びうる。また両湖のダムは水力発電施設としても稼働しており、水位低下は発電能力の低下にもつながるとされる。

日本のメディアでは、コロラド川流域の水事情が具体的な数字とともに報じられることはあまり多くないとみられる。しかし米南西部は世界有数の農業・人口集積地であり、そこでの水資源の逼迫は、気候変動が具体的なインフラや暮らしにどう表れるかを示す事例として注目に値する。日本国内でも渇水や取水制限は各地で起きているが、米国の事例は、数十年単位の気候変動と人口増加が積み重なったときに何が起きるかを先取りして示している面がある。