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アイブ設計のフェラーリ初EV「Luce」、オークションで4000万ドル落札

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元アップルのジョニー・アイブ氏とマーク・ニューソン氏が設計したフェラーリ初の電気自動車「Luce(ルーチェ)」の量産第1号車が、4000万ドルで落札された。新車がオークションで売られた価格としては過去最高だという。デザイン誌Dezeenが8月17日付で伝えた。

何が起きたのか

出品されたのは特別仕様のオールホワイトのLuceで、米カリフォルニア州のモントレー・カー・ウィークで開かれたRMサザビーズのチャリティーオークションに掛けられた。事前の落札予想は110万ドルだったが、実際にはその36倍あまりの4000万ドル(約2960万ポンド)に達した。ただでさえ高額な小売価格の60倍を超える値である。サザビーズによれば、売上は全額、フェラーリ財団を通じた教育事業に充てられる。

Luceは5月の発表時から賛否を呼んできた。そぎ落としたシルエットに4ドア・5人乗りという構成が「フェラーリらしく見えない」と論じる声があり、発表後にはフェラーリの株価がデザインへの批判を受けて一時8%下落した。

批判者には、2014年まで23年間同社を率いた元会長ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏もいる。同氏はイタリアのメディアに「私たちは伝説を壊す危険を冒している。本当に残念だ」と語り、「せめて跳ね馬のエンブレムは外してほしい」とまで述べた。

背景

Luceは、アイブ氏とニューソン氏が2019年にアップルを離れて設立した共同スタジオ「LoveFrom(ラブフロム)」として手がけた初めての自動車だ。iPhoneのデザインで知られるアイブ氏と、工業デザインの第一線を走ってきたニューソン氏という、現代で最も影響力のあるデザイナー2人の組み合わせである。ニューソン氏はオークションでの記録と縁が深く、存命デザイナーの家具として史上最高額で落札された作品も同氏の手によるものだ。

批判の一方で、商業的な出足は好調とされる。英紙フィナンシャル・タイムズによれば、フェラーリは発売からわずか2か月で2026年分の販売目標を完売した。最初の納車は10月の予定だと同社は昨年説明している。

ニューソン氏は5月の発表時、Dezeenの取材に「最初から気に入らないと決めてかかっている人が膨大な数いる。実物を見てもいないし、まして運転もしていない」と反論し、「この車は実際に運転してはじめて本当に理解できる。ああいう類の判断を下す前に、まず試してほしい」と語っていた。

日本にとっての意味

アイブ氏はiPhoneやiMacを形にした人物として日本でも知名度が高く、その初めての自動車がフェラーリのEVだという点だけでも話題性がある。伝統あるブランドが電動化という転換点で外部の著名デザイナーを起用し、「らしさ」をめぐる激しい論争と記録的な落札額が同時に起きるという構図は、ブランドの資産をどう次の時代に引き継ぐかという、日本の自動車メーカーや老舗企業にも無縁ではない問いを含んでいる。

また、事前予想110万ドルの車が4000万ドルまで競り上がった事実は、この落札額が車両の実勢価格ではなく、チャリティーと「第1号車」という物語への値付けであることを示している。デザインの評価が割れる製品でも、希少性と物語が価格を押し上げるオークション市場の力学を示す事例として、美術品市場を追う読者にも興味深い出来事だ。