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豪パラマタに9億1500万豪ドルの新美術館、現地11月7日に開館へ

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オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のパラマタで建設が進んでいた美術館「パワーハウス・パラマタ」が、現地の11月7日(土)に開館する。総工費は9億1500万豪ドル、完成までに12年を費やし、同州で過去最大規模の美術館になる。開館時には五つの展示が予定されている。

何が起きたのか

開館時間は毎日午前9時から午後9時まで。入場は無料だが、開館展示のひとつ「Task Eternal」は有料となる。人類の宇宙探査をテーマにした展示で、NASA、スミソニアン協会、大英博物館などから作品や資料の貸与を受け、ロケットエンジン、スペースデブリ(宇宙ごみ)、宇宙服といった実物が並ぶ予定だ。米国の作家ジェームズ・タレルは、この展示のために光と色彩で空間を包み込む没入型の新作を制作した。もうひとつの開館展示「The Mall」は、19世紀のアーケード街からAIを使った現代の商業システムまで、ショッピングセンターという建築形式が近代の暮らしに与えた影響をたどる内容になる。

この美術館は、30の住居ユニットを備え、科学者やアーティスト、研究者が最長3か月にわたって滞在しながら制作や研究を行えるようになっている。加えて学校の子どもたちが宿泊しながら学ぶプログラムも予定されており、最高責任者のリサ・ハビラは、毎晩90人から95人がここに滞在することになると説明したうえで、「そのような前例は知らない」と述べている。運営側は初年度に200万人の来館者を見込んでいるという。

背景

パワーハウス・パラマタの源流は、1879年にシドニーで設立された応用美術科学博物館(Museum of Applied Arts and Sciences)にさかのぼる。今回の西シドニーへの移転は、州都シドニー中心部に偏りがちだった芸術文化予算をより広い地域に配分し直そうとするニューサウスウェールズ州政府の方針の一環として進められてきた。州政府は本件を、1973年のシドニー・オペラハウス開館以来最大の文化投資と位置づけている。同州の美術館では2022年にも、州立ニューサウスウェールズ美術館の新館「ナーラ・バドゥ」(旧称シドニー・モダン)が開館しており、大型文化施設への投資が続いている流れの中に今回の開館がある。

もっとも、建設の過程では議論も絶えなかった。建設予定地にあった歴史的建造物ウィロー・グローブの取り壊しをめぐっては、保護団体ナショナル・トラストが強く反発した。パーティーや「アーティスト協力者」への過大な支出の疑いも報じられてきた。さらに博物館業界の関係者からは、この施設は美術館というより娯楽施設になるのではないかという見方も示されてきたという。NASAや大英博物館といった一流機関からの貸与を集めた展示内容は、こうした懸念に対する運営側からの一つの答えとも読める。

日本にとっての意味

ジェームズ・タレルは、香川県・直島の地中美術館や新潟県十日町市の「光の館」など、日本国内にも恒久的な作品を残している作家として知られる。これらの施設を訪れたことのある読者にとって、パワーハウス・パラマタの新作は、身近な感覚を通じてこの美術館の性格をイメージしやすい手がかりになるはずだ。芸術文化予算をシドニー中心部から周辺地域へ広げようとする今回の狙いは、日本国内でも都市と地方の文化施設をめぐって語られてきた論点と重なる面がある。実際に足を運ぶ場合、入場自体は無料で、有料となるのは宇宙をテーマにした特別展のみという点、開館時間が毎日午前9時から午後9時までである点は覚えておいて損はない。シドニー中心部からは約20キロで、同市を訪れる旅行者にとって立ち寄りやすい距離にある新しい文化拠点が一つ増えることになる。