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NY市、マンハッタンで世界最高層の拘置施設着工

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米ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウンで、完成すれば世界で最も高い刑事収容施設となる拘置施設の敷地整備が始まった。設計は建築事務所HOK。過酷な収容環境で悪名高いライカーズ島の拘置施設群を、市内4区の新施設で置き換える計画の一つにあたる。デザイン誌Dezeenが8月24日付で伝えた。

何が起きたのか

新施設「マンハッタン拘置施設」が建つのは、チャイナタウンのホワイト街125番地。「トゥームズ(墓)」の通称で知られた旧マンハッタン拘置施設群の跡地で、旧施設は2024年に解体された。

ニューヨーク市設計建設局(DDC)とHOKが公開した最新のイメージによれば、建物は高さ102メートル(335フィート)、13〜15階建てに相当し、隣接するニューヨーク郡刑事裁判所の高さに揃えられる。この高さで建てば世界で最も高い矯正施設となり、「ジェイルスクレイパー(拘置摩天楼)」の異名で呼ばれている。建物は下部を貫く通路で2つの主要なボリュームに分かれ、敷地を横切る歩行者用の通り抜けがつくられる。

外装の一部は、赤みがかったメッシュのスクリーンと波打つパネルで覆われる。建物中央部のこの「セキュリティメッシュを備えたダブルスキン」は、収容者が外を眺められる場所となり、「レクリエーションホール」などの空間を囲う。DDCの設計文書は「プライバシーに配慮し、セキュリティメッシュと建築スクリーンによるダブルスキンが、最も外側のファサードと収容者の間に隔たりをつくることで、視覚的なプライバシーを支える」と記す。居室は上層階に置かれ、地上階には公共ロビー、コミュニティ・商業スペース、職員ロビーが入り、地下には矯正局と市警職員用の駐車場が設けられる。計画収容規模は1040床。

地域の要望を受け、敷地周辺と公共通路には植栽やベンチが配され、使いやすいロッカーとトイレを備えた「居心地がよく、迎え入れられていると感じられる」面会スペースも計画されている。旧トゥームズを取り囲んでいたパブリックアートも保存して敷地に再統合される。旧施設の入口前に立っていたキット・イン・スナイダーのアルミ線の彫刻や、旧ファサードに埋め込まれていたリチャード・ハースの石のレリーフが含まれる。現在はインフラ工事と掘削の準備が進んでおり、完成は2032年の予定だ。

背景

この施設は、ライカーズ島から移送される収容者を受け入れる4施設の一つである。イーストリバーに浮かぶ小さな島ライカーズ島には市の矯正施設15カ所のうち10カ所が集まり、最大1万5000人を収容してきたが、暴力と非人道的な環境で悪名高い。市は2019年に同島の施設群をいずれ閉鎖し、マンハッタン、ブルックリン、ブロンクス、クイーンズの4つのより小さな施設に収容者を分散させる「区単位拘置施設計画」を発表した。設計はHOKがマンハッタンとブルックリンを主導し、ブロンクスはセトラ・ラディ(CetraRuddy)、クイーンズはマイケル・グレイブスなどが手がける。工事は4カ所すべてで進み、最も先行するブルックリンはマンハッタンの計画高さに次ぐ90メートル(295フィート)で躯体が最上部に達した。

一方でマンハッタンの計画には、住民や地域団体から強い反対が続いてきた。直近では地元の指導者らがゾーラン・マムダニ市長に書簡を送り、敷地の地盤の脆弱さを警告して立地の再検討を求めた。書簡は「この敷地の基礎の問題で工事が遅れたり頓挫したりすれば、4区計画はライカーズの収容者を吸収できず、ライカーズ閉鎖はさらに手の届かないものになる」と訴えている。建築界の受け止めも割れており、この種の設計がより人道的な収容環境につながるとする事務所がある一方、建築家マイケル・フォードのように、拘置施設や刑務所の設計自体をやめるようデザイン界に呼びかける声もある。

日本にとっての意味

限られた都市の敷地に収容施設を垂直に積むという解き方自体は、日本に前例がある。東京・葛飾区小菅の東京拘置所は地上12階・高さ約50メートルの収容棟を持ち、都市型の高層拘置施設としては世界でも早い例だった。マンハッタンの新施設が異なるのは、都心の一等地にとどまることをあえて選び、地上階に商業・コミュニティ空間や通り抜け通路、保存されたパブリックアートまで組み込んで、施設を「街に開く」方向へ振った点にある。塀の内側に閉じることを基本としてきた日本の刑事施設の建築とは対照的で、施設と地域の関係を設計でどう扱うかという問いを投げかける。

また、悪名高い既存施設の閉鎖が、新施設の建設スケジュールに丸ごと依存しているという構図は、収容環境の改革が建築プロジェクトの成否に左右されることを示している。老朽化した矯正施設の建て替えを各地で進める日本にとっても、他人事ではない教訓を含む事例といえる。