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毛沢東彫刻の中国人芸術家に禁錮3年 河北省の法廷が判決

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中国の反体制芸術家ガオ・ジェン(Gao Zhen、70歳)に、現地時間の8月25日、河北省三河市の人民法院が禁錮3年の判決を言い渡した。根拠とされたのは、共産党の指導者だった毛沢東を風刺した彫刻作品だ。ガオ・ジェンは2024年8月、家族訪問のため訪れていた河北省で拘束されており、今回の判決はおよそ2年に及んだ法的な手続きの末に出された。

何が起きたのか

検察が証拠としたのは、ガオ・ジェンが2005年から2009年にかけて制作した一連の彫刻だ。毛沢東が悔い改めるような姿を取っている作品や、イエス・キリストに向けて火を放つような姿を描いた作品が含まれる。ほかにも、鼻を誇張し、胸を大きく強調した戯画的な毛沢東の胸像も対象になった。

ガオ・ジェンは弟のガオ・チアン(Gao Qiang)と共に「ガオ・ブラザーズ(Gao Brothers)」の名で活動しており、2006年から2009年にかけて制作した「ミス・マオ(Miss Mao)」シリーズなど、毛沢東を批判的・風刺的に扱う作品で知られてきた。二人は2010年から2011年にかけて、米カンザスシティのケンパー現代美術館(Kemper Museum of Contemporary Art)で大規模な回顧展が開かれるなど、国際的に実績のある作家だ。

判決の根拠とされたのは、2021年に中国の習近平指導部のもとで施行された法改正で、国が「英雄・烈士」と位置づける人物への名誉毀損とみなされる表現を禁じる内容だという。中国当局は、拘束をめぐる国際的な抗議や芸術家らの嘆願を退けてきたほか、ガオ・ジェンの妻子の出国も引き続き認めていない。

背景

中国では近年、体制や指導者を批判・風刺する表現に対する取り締まりが強まってきたとされる。アイ・ウェイウェイ(Ai Weiwei)やグオ・ガイ(Guo Gai)といった芸術家も、同様の法的な圧力に直面してきたと伝えられている。

今回のケースで注目すべきは、問題とされた彫刻が2005年から2009年に制作されたものである一方、その根拠となった法改正は2021年に施行されている点だ。つまり、制作後にできた規定が処罰の根拠に用いられたのではないかという指摘がある。「英雄・烈士」への名誉毀損を禁じるという枠組みは、対象となる人物や表現の範囲が当局の裁量に委ねられやすく、風刺や批評的な芸術表現がどこまで許容されるかの線引きが不透明になりやすいという指摘も出ている。

ガオ・ジェンが拘束されたのが自身の作品発表の場ではなく、家族訪問という私的な渡航中だった点も見過ごせない。表現の内容だけでなく、本人が中国国内に足を踏み入れること自体がリスクになり得ることを示している。

日本にとっての意味

ガオ・ジェンは長らくニューヨークを拠点に活動してきた芸術家であり、今回の一件は中国国外に生活基盤を置く作家であっても、家族訪問などで中国国内に入った際に法的なリスクを負い得ることを示した。中国と作品のやり取りがある日本の美術館や芸術家にとっても、他人事ではない論点を含んでいる。

中国の作家を招いた展示や共同制作、作品の貸借を検討する際、その作品が過去に制作されたものであっても、その後の法改正によって現地で問題視される可能性があるという点は、企画段階で織り込んでおく価値がある。また、中国出身または中国にルーツを持つ作家を日本の展覧会に招く場合、本人だけでなく家族の渡航の自由が制約される事態もあり得ることは、招聘や滞在計画を立てるうえで考慮すべき要素になる。

さらに、毛沢東という特定の人物への風刺表現が処罰の対象になったという事実は、中国国内向けに作品を送る、あるいは中国のパートナーと共同で企画を進める日本の文化機関にとって、表現内容の審査や事前確認の基準がどこにあるのかを改めて意識させる材料といえる。