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ドイツ企業へのサイバー攻撃急増、発信元は中国・ロシア・イラン

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ドイツのデジタル産業団体ビットコム(Bitkom)と国内情報機関BfV(連邦憲法擁護庁)のトップが、現地時間26日にベルリンで会見し、同国企業を狙う国家主体によるサイバー攻撃が増えていると発表した。ビットコムの年次報告によれば、この1年の攻撃による経済損害は2110億ユーロ(約2460億ドル)に上るとみられる。

何が起きたのか

ビットコムのラルフ・ヴィンターゲルスト会長は会見で、企業アンケートをもとに、攻撃の発信元として52%が中国を、49%がロシアを挙げたと明らかにした。さらに9%の企業がイランを発信元として挙げており、「イランがドイツ企業への経済犯罪の主要な攻撃主体として台頭したのは今回が初めて」と述べた。攻撃を受けていること自体に気づいていない企業が増えている点も指摘され、産業スパイ活動は巧妙化し発見が難しくなっているという。

同じ会見に同席したBfVのシナン・セレン長官は、データ窃取や産業スパイ、破壊工作の被害を受けた企業のうち、過去12カ月間に少なくとも1件の攻撃を外国の情報機関によるものと特定した企業の割合が37%に上り、1年前の28%から9ポイント上昇したと明らかにした。セレン氏は「ドイツはサイバー空間で高い水準の脅威に直面している。国家主体による活動の増加は極めて憂慮すべき事態だ」と述べた。ロシアによるウクライナ侵攻や、モスクワが人工知能をサイバー攻撃に密かに活用している動きは、特にドイツの防衛産業にとって課題になっているとも警告した。

背景

ドイツは欧州最大の製造業国とされ、自動車、化学、機械、防衛関連など高度な技術を持つ企業が多い。こうした技術情報や設計データは他国にとって価値が高く、サイバー空間を通じた産業スパイの標的になりやすいとされる。BfVは国内の防諜(counter-intelligence)を担う機関で、外国情報機関の活動を監視し、企業への注意喚起や協力体制の強化を進めているという。

ロシアについては、ウクライナ侵攻以降、欧州各国への諜報・妨害活動が強まっているとの指摘が各国の情報機関から繰り返し出されている。中国は経済安全保障の観点から、先端技術やサプライチェーン情報を狙った産業スパイの主体として欧米で長年警戒されてきた。イランが今回新たに主要な攻撃主体として名指しされた背景について、報道内容に詳しい説明はないが、中東情勢の緊張の高まりとサイバー能力の向上が影響している可能性はある。

日本にとっての意味

今回の発表は、国家が関与するとみられるサイバー攻撃の実態を、情報機関トップが具体的な数字とともに公にした点で異例だ。中国・ロシア・イランによる産業スパイやサイバー攻撃は、自動車や精密機械、半導体関連など、ドイツと産業構造の重なる部分が大きい日本企業にとっても他人事ではない。

特に注目すべきは、攻撃を受けていることに気づかない企業が増えているというビットコムの指摘だ。侵入や情報窃取が発覚しないまま長期化するケースが増えているとすれば、被害の全体像はさらに大きい可能性がある。海外拠点や取引先を通じてサプライチェーンでつながる日本企業にとって、こうした欧州発の実例は、自社のセキュリティ体制やログ監視の水準を見直す材料になる。またAIを活用した攻撃の高度化という指摘も、日本企業が防御を考えるうえで参考になる論点といえる。