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ミュンヘン家賃高騰への皮肉、木に固定した1平米オフィス

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ドイツの建築事務所オポジット・オフィス(Opposite Office)が、床面積約1平方メートルの仕事用ツリーハウス「バウムハウス・オフィス(Baumhaus Office)」を作り、ワイマールのバウハウス大学キャンパスの木に固定した。以前拠点を置いていたミュンヘンのオフィス賃料高騰への応答だという。

何が起きたのか

「バウムハウス・オフィスは本物のオフィスであると同時に、不動産市場へのいささか誇張された返答でもある」と、オポジット・オフィス創設者のベネディクト・ハートル(Benedikt Hartl)氏はDezeenに語った。「ミュンヘンの賃料と張り合う代わりに、オフィスを賃貸市場の外へ、木の上へ引っ越させた」

約1平方メートルの空間は、建築家3人までの利用を想定する。はしごを上った先の立方体の内部には棚と机があり、折りたたみ式のパネルを倒せば作業面を広げられる。頭上にはドーム型の天窓が付き、木々の梢を見上げられる。

「ミュンヘンはオフィスを借りるにはドイツで最も高くつく都市の一つになった」とハートル氏は言う。「小さな建築事務所にとって、机数平方メートルのためだけに毎月かなりの額を払うのは、少しばかり不条理に感じられる。そこで単純な問いを立てた。建築事務所を営むのに、実際どれだけのオフィスが要るのか。答えはおよそ1平方メートル。ノートパソコンと、模型作業用のカッターマットと、木が1本あればいい」

背景

構造はホームセンターで調達した標準的なトウヒ材の板と、部分的にアルミで覆った合板パネルでできている。木への固定はラチェット式ベルト2本で、幹には保護材を挟んで傷を防いでいる。「木材は意図してありふれたものにした。この計画の裏に特別なツリーハウス工学は隠れていない」とハートル氏。「一方でアルミの外装は防水になり、この小さな構造物にどこかUFOめいた見た目を与えている」

「オフィス全体が2本の太いベルトだけで支えられている。コンクリート基礎も、木へのネジ留めも、複雑な固定装置もない。あるのは説得力のある抱擁だけだ」と同氏は続ける。「最初の数日は少し怖かったが、構造技術者の立ち会いのもとで大勢が乗る荷重試験をして、安心できた」

設置にあたってはバウハウス大学ワイマールの学長から、期間限定でこの木を使う許可を得た。オフィスは解体して別の木に「比較的簡単に」移設できるという。「眺めがよくて家賃のかからない余った木をお持ちの方がいれば、ぜひご連絡を」とハートル氏は呼びかけている。

日本にとっての意味

「仕事に本当に必要な空間はどれだけか」という問いの立て方は、最小限の空間を突き詰めてきた日本の建築の系譜と響き合う。2022年に解体された黒川紀章の中銀カプセルタワービルは約10平方メートルのカプセルに住まいと仕事場を圧縮したし、さかのぼれば茶室という二畳ほどの空間で完結する建築の伝統もある。1平方メートルのオフィスはその極端な現代版として読める。

同時にこの作品は、都市のオフィス賃料という世界共通の問題をユーモアで可視化した批評でもある。東京でも都心のオフィス賃料は小規模事務所には重い負担であり、コワーキングスペースやシェアオフィスへの移行が進んできた。「賃貸市場の外へ出る」という発想自体は冗談めかしているが、固定費を最小化して身軽に働くという方向性は、日本の独立系クリエイターや小規模事務所の実感と地続きにある。