感染症・健康

米農務省、乳牛群と養鶏でH5N1鳥インフルエンザ新規発生を確認

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米農務省(USDA)の動植物検疫局(APHIS)は2026年8月下旬、約1カ月ぶりとなる更新でH5N1型鳥インフルエンザの新規発生を公表した。過去30日間に乳牛群3件、養鶏では大規模なものを含む複数の発生が確認された。ウイルスが牛の間で完全になくなったわけではないことを示す内容となっている。

何が起きたのか

APHISの集計によると、過去30日間に乳牛の群れで新たに3件のH5N1感染が確認された。内訳はテキサス州が2件、ユタ州が1件。テキサス州は2024年に牛への感染が初めて確認された州とされ、そこで新規発生が続いている。今年に入ってからの牛群での感染確認は累計85件で、昨年1年間の171件、そして牛での感染が初めて見つかった2024年の917件と比べると大幅に少ない水準にとどまっている。

養鶏では、サウスダコタ州エドマンズ郡の商業用種鶏施設で2万9700羽が影響を受ける大規模な発生が報告された。同州ブルール郡でも2800羽の発生が確認されている。アイダホ州エイダ郡とキャニオン郡でも小規模な発生があった。過去30日間で見ると、商業養鶏場2施設と裏庭養鶏(家庭で少数羽を飼育する形態)3施設で発生が確認された。

背景

H5N1型鳥インフルエンザは本来、渡り鳥を中心に鳥類の間で流行するウイルスだが、2024年にアメリカで初めて乳牛への感染が確認され、これまでに経験のなかった哺乳類間での広がりを見せてきたとされる。牛は搾乳作業などを通じて人との接触が多く、酪農従事者への感染例も米国内で報告されてきたという。ウイルスが牛の乳腺で増殖するとされ、生乳を介した感染拡大への懸念から、米国では市販牛乳の低温殺菌基準の徹底や、州境を越えて移動する牛の検査が強化されてきたとされる。

今回の発表は、APHISがおよそ1カ月にわたり集計を更新していなかった後にまとめて公表されたものである。件数自体は2024年のピーク時と比べて大きく減っているものの、テキサス州で発生が繰り返されている点は、ウイルスが乳牛群の中で根絶されずに残っている可能性を示している。養鶏における大規模発生も例年繰り返されているとされ、商業養鶏場で確認された場合は感染拡大を防ぐため、群れ全体の殺処分が行われるのが通例だという。

日本にとっての意味

日本はH5N1をはじめとする高病原性鳥インフルエンザについて、発生国・地域からの家禽肉や鶏卵の輸入を一時的に停止する仕組みを持つとされる。米国はブロイラー用の種鶏の主要な輸入相手国の一つとされ、テキサス州のように発生が繰り返される地域が出てくると、輸入停止の対象地域や期間に影響する可能性がある。国内の卵・鶏肉価格は近年、国内外での鳥インフルエンザ発生のたびに変動してきたとされ、海外の発生状況は間接的に家計にも関わってくる。

より注目すべきは、テキサス州で牛への感染が2024年以降も確認され、根絶に至っていないという点だ。日本国内では牛への感染は確認されていないとされるが、ウイルスが哺乳類の体内で増殖を繰り返す環境が海外に存在し続けることは、変異を通じて人から人への感染力を獲得するリスクが指摘される要因の一つとされる。国内の家畜防疫や検疫体制、そして人への感染例に関する海外動向は、今後も注視しておく価値がある。