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新疆綿の新条例、栽培から出荷まで追跡可能に 強制労働問題は不記載

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中国の新疆ウイグル自治区で現地時間の2026年7月1日、綿花の品質向上を掲げる新しい条例「新疆維吾爾自治区棉花質量促進条例」が施行された。栽培から収穫、買い付け、加工、販売、保管までの全工程で、栽培者や区画、品種、数量、日付を記録し、5年間保存することを義務付ける内容だ。国連の人権専門家は、この背景にある土地・労働の移転制度がウイグル族らに取り返しのつかない被害をもたらしかねないと警告している、と海外メディアのGlobal Voicesは伝えている。

何が起きたのか

新条例は、中国政府が「高品質な発展」と呼ぶ政策の一環として打ち出された。綿花1俵ごとにバーコードを付け、種類や等級、数量、加工履歴を記録する仕組みを義務付ける。記録は栽培者や区画、加工履歴と結び付いた形で少なくとも5年間保管される。

綿花関連の事業者は検査や信用評価の対象となり、市場からの退出の仕組みも設けられうる。評価結果は政策支援や資金調達のしやすさにも影響するという。Global Voicesは、この条例が繊維の品質基準にとどまらず、農家と土地から加工工場、倉庫、販売先までを一貫して当局が把握できる法的枠組みを作り出していると指摘する一方、綿花摘み取りをめぐる強制労働の証拠や報告には条例が触れていないとも述べている。

新疆ウイグル自治区の綿花生産には、国営通信の新華社が2020年に報じた政府統計によると約700万人が携わり、その約7割がウイグル族など先住民族とされる。南部のウイグル族が多い地域では綿花が主要な収入源になっているという。

背景

この条例は単独で生まれたのではなく、2018年に自治区政府が打ち出した農村土地改革の延長線上にある。当時の実施方針は「三権分置」と呼ばれる仕組みを導入した。土地の所有権は村の集団が持ち、契約する権利は農家に残る一方で、実際に耕作する経営権は、国が認めた協同組合や企業などの担い手に移せるというものだ。

この方針は、南部のウイグル族地域で耕地の土地移転率が当時15%未満にとどまっていたことを問題視し、土地の株式化や信託、委託耕作といった大規模化の手法を進めるよう求めた。加えて、土地を受け入れる事業者が地域の開発計画や貧困対策の方針に合致し、地元の労働力を吸収できるかを審査するよう当局に指示し、土地を受け入れる農業経営体の内部に共産党の組織を設置することも定めていた。

この改革が具体的にどう機能するかを示す事例として、国営メディアの中国科学報が2018年に報じた新疆生産建設兵団第三師51団4連の綿花プロジェクトがある。同地域の住民の95%以上がウイグル族など先住民族だったとされ、プロジェクトは「訪恵聚」と呼ばれる政策運動と連動して進められた。研究機関や技術企業、協同組合、農家を一つの生産体制に組み込み、土地の移転に対しては1ムー(mu、約666.67平方メートル)あたり650元(約96.7米ドル)が支払われた。農家には、土地を移転した後も同じ土地で働くことで追加の収入を得られると説明されたという。標準化された種子や機械化、灌漑管理、上空からの防除、データサービスは、研究機関や企業、協同組合の主導の下で導入された。

日本にとっての意味

今回の条例が作るのは、栽培者の名前と土地の区画が記録に結び付いた「追跡可能な綿花」だが、その記録を作り、保管し、証明を発行するのは当局と当局が管理する事業者自身である。強制労働の証拠や報告には条例が触れていないと指摘されている以上、追跡可能であることと、第三者が独立に検証できることは同じではない。

新疆産の綿花は日本のアパレル供給網にも入っているとされる。米国には新疆産品の輸入を原則認めない仕組みがあるとされ、欧州連合も同様の規制を進めているという指摘がある一方、日本には強制労働を理由に輸入を止める法律がないとみられる。そのため日本のアパレル企業は、自らの調達方針や、取引先である米欧企業が求める基準を通じて間接的にこの問題と向き合わざるを得ない立場にある。新条例に基づく産地証明のような書類を受け取ったとしても、それが誰によって作られたものかを踏まえた読み方が必要になるだろう。