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ブルックリンのCraighill、歴史的意匠から携帯ライター再設計

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米ブルックリンのデザインスタジオ、クレイグヒル(Craighill)が、揺動式の機構と火消し(スナッファー)を備えた携帯ライター「スイングトップ・ライター」を発表した。見過ごされがちな日用品に目を向けるという同ブランドの方針に沿った製品で、歴史的なライターの意匠を参照して現代の使い捨てライターを設計し直した。

何が起きたのか

スイングトップ・ライターはダイカスト(型鋳造)のステンレス鋼製で、クレイグヒルのブルックリンの工房で作られる。レバーを押し下げるとフリント(発火石)の機構が作動すると同時に、定位置にある火消しが持ち上がる仕組みで、炎は火消しを振り戻してかぶせるまで芯の上で灯り続ける。燃料もフリントも芯も、使い切ったら補充・交換できる設計だ。

色はマットな黒と銀の2色で、銀のモデルにはレバー機構の上部に遊び心のあるセラミック球が付く。設計チームは、現在主流のビック(Bic)のような使い捨てライターを使いにくいものとみなし、使い捨てプラスチック製品より人間工学的で遊び心もあった歴史的なライターの機構に目を向けたという。

共同創業者のザック・フリード氏によると、このライターも、同ブランドが設計し直してきた他の日用品と同じく、長く使えることと、かつての製品が持っていた「良く作られたものの感覚」に近づくことを狙っている。高価ではあるが、何年も使い続けられるように設計されているという。「計画的陳腐化がまさに現実にある今、私たちは素材の質を追求する道を選ぶ」とフリード氏は語った。「時代を超えていると感じられ、それでいて視覚文化の面で現在にもかなうものを、驚くほど満足のいく仕上がりで届けたい。日々触れる物には、がっかりさせられることがあまりに多いから」

背景

クレイグヒルは、製品の設計意図を説明する動画で知られるようになったブランドだ。今回のライターでも、巨大なプロトタイプを使って各部の設計と現行ライターの問題点を解説する動画をインスタグラムに投稿し、多くの反響を集めた。動画は製品の宣伝と同時に、眼鏡ホルダーのような同スタジオの変わり種の製品への入り口にもなっている。

「誰もがよく知るありふれた物を取り上げて、設計チームがこだわり抜いた特定の操作やディテールにぐっと寄って見せる。それが、デザインというものに人がつながる入り口になる。それほどまでに、どこにでもある物だからだ」と共同創業者のハンター・クレイグヒル氏は言う。「ただ、私たちがやっているのは日用品の再想像にとどまらず、もう少し幅の広いことだ」

動画のコメント欄では、機構の古さを指摘する批判も含めて議論が起きるが、2人はその議論自体を歓迎しているという。「純粋主義者がネットで『それは昔からあった』と言いに来ることもある」とフリード氏。「分かっている。私たちはそこに付け加えようとしているのであって、本当に面白いと思える発想と対話しているのだ」。クレイグヒル氏も同意しつつ、「コメント欄から退出する頃合い」は心得ていると付け加えた。このライターは米ニューヨークのホイットニー美術館と連携して発売され、初回生産の100個は同館限定で先行販売された。

日本にとっての意味

日本のライター事情は、このデザインの問題意識と地続きにある。日本では幼児の火遊びによる火災を受けて、2011年9月27日以降、着火操作を重くしたり2段階にしたりするチャイルドレジスタンス機能とPSCマークのない使い捨てライターなどの販売が禁止された。安全のために「使いにくさ」を組み込んだ規制で、対象は燃料容器が本体と一体で、その容器の全部または一部にプラスチックを使ったライターであり、ステンレス製で燃料を補充する今回のような方式は対象外とされる。使いやすさと安全性、そして使い捨てを前提にした製品設計の間の緊張関係は、日本の消費者にとっても身近な題材だ。

もう一つの接点は、補充して長く使う道具への再評価だ。使い捨てが基本のライター市場で、あえて燃料・芯・発火石を交換できる高価格の製品を出すクレイグヒルの選択は、修理や補充を前提にした道具を見直す近年の潮流に乗るものであり、道具を直しながら使い続ける文化を持つ日本の読者にも通じる考え方といえる。