スヌーピー、NYでファッション展 BODEら新世代デザイナーが新作
漫画『ピーナッツ』の犬スヌーピーを主役にした展覧会「Snoopy in Style NYC」が、現地時間9月2日、ニューヨークのミートパッキング地区で始まった。BODE、クリストファー・ジョン・ロジャーズ、サンディ・リャン、LUARなど現代のデザイナーがスヌーピーと相棒の鳥ウッドストックのために新作衣装を制作し、歴代のブランドによる過去の作品と並べて展示する。会期は現地の9月26日まで。
何が起きたのか
会場は25 Little West 12th Streetにある約1,500平方メートル(1万6,000平方フィート)の施設で、10のゾーンに分かれる。展示を監修したのは、スヌーピーの生みの親チャールズ・M・シュルツの名を冠したチャールズ・M・シュルツ美術館・研究センターだ。この展覧会は以前パリで開かれたものを土台にしつつ、ニューヨーク向けに規模を広げたという。
新作を手がけたデザイナーには、BODE、クリストファー・ジョン・ロジャーズのほか、Coach、Collina Strada、ザック・ポーゼンがデザインを手がけるGAPStudio、Kith、Levi’s、LUAR、サンディ・リャンらが名を連ねる。ピーナッツ社のグローバルブランド・広報担当上級副社長メリッサ・メンタ氏は、各デザイナーには解釈の自由が全面的に与えられたとした上で、「彼らはそれぞれ自分の好みを感じさせる形でスヌーピーの見た目を解釈しながらも、スヌーピーにふさわしい個性とスタイルを与えている」と説明している。
ファッション以外にも見どころがある。シュルツとテニス界の関係を扱う展示コーナーでは、彼と親交のあったビリー・ジーン・キングとの関わりや、女性のスポーツ機会均等を定めたとされる米国の法律「タイトルIX」への支持について紹介する。また、ピーナッツのアニメで知られる音楽家ヴィンス・ガラルディの音楽を扱う「Joe Cool’s Listening Lounge」では、DJブースや貴重なレコード、資料などを展示する。ニューヨーク版では、ピーナッツを最初に配信した新聞シンジケートがこの街を拠点にしていたという、街との歴史的なつながりにも触れているという。
背景
スヌーピーが著名ブランドの衣装をまとうのは今回が初めてではない。シャネル、エルメス、ディオール、アルマーニ、ジバンシィといった名門ブランドが数十年にわたりスヌーピーを手がけており、その一部は1990年にパリのルーブル美術館で展示されたこともあるという。今回のニューヨークでの展覧会は、その系譜に新しい世代のデザイナーを加える試みといえる。
展覧会がこれほど多様なデザイナーを引きつける理由について、メンタ氏はシュルツの絵柄そのものに触れている。スヌーピーは白い体、黒い耳と鼻、そして手描きの簡素な線という少ない要素で構成されており、その単純さが逆にデザイナーごとの個性を反映しやすくしているという。メンタ氏は「デザイナーにとって核心にあるのは、チャールズ・シュルツの線が持つシンプルな芸術性と美しさだと思う」とした上で、それに加わるスヌーピーの多面的な性格が、デザイナーが自分なりの表現を加えたくなる要因になっていると説明している。1950年に誕生したキャラクターが、時代やメディアを越えて姿を変えながらも一目でそれと分かる輪郭を保ち続けている点は、ピーナッツというコンテンツの息の長さを物語っているとみられる。
日本にとっての意味
スヌーピーは日本でも幅広い世代に親しまれているキャラクターで、グッズや専門ショップも各地に存在する。ただし今回のように、ニューヨークのファッション業界の文脈で語られるコラボレーション展という切り口は、日本の報道にはあまり入ってこない。BODEやサンディ・リャン、LUARといった、近年のアメリカで評価が高まっているとされる新興デザイナーブランドの名前を、日本でスヌーピーというなじみ深い存在と結びつけて知る機会は限られている。
こうした展覧会は、単なるキャラクター商品の展示ではなく、著名なブランドがどのようにアートやカルチャーとコラボレーションを重ねてきたかという、ファッション史の一断面を示すものでもある。日本の読者にとっては、スヌーピーというなじみのキャラクターを窓口にして、海外の現代ファッションシーンの動向や、ブランドとキャラクターIP(知的財産)を組み合わせたビジネス手法を知る機会になる。今後、こうしたコラボレーションの一部が日本国内の店舗展開やポップアップイベントに波及する可能性もあり、ファッションやデザインに関心のある読者にとっては注目しておく価値がある話題だ。