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グリーンランド外相「未来を決める権利」が危機、欧州議員に訴え

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グリーンランドのムテ・ボーロプ・エゲデ外相は現地時間9月2日、ブリュッセルで欧州議会議員との意見交換に臨み、自治領の将来を自ら決める権利が危機にさらされていると述べた。米国のトランプ大統領がグリーンランドの領有に改めて意欲を示したことを受け、住民の間に不安が広がっているという。エゲデ氏はEUとの連携強化を訴え、NATO(北大西洋条約機構)の北極圏での関与に支えを感じていると述べる一方、EU加盟の可能性についても「否定はしない」と含みを持たせた。

何が起きたのか

エゲデ外相は欧州議会議員との会合で、グリーンランドの自己決定権が脅かされている状況が政府だけでなく住民全体、子どもたちにも重くのしかかっていると説明した。不安の高まりが一部住民の精神的な健康にも影響を及ぼしていると懸念を示したという。この発言は、トランプ大統領が米国によるグリーンランドの支配を歴史的・戦略的に必要だと繰り返し主張してきたことを受けたものだ。エゲデ氏は「グリーンランドは常にグリーンランドの人々のものであり、私たちの未来に関する決定は私たち自身が行う」と述べ、自己決定の原則を強調した。

その一方でエゲデ氏は、グリーンランドが孤立を選ぶことはできず、強力な国際的パートナーが必要だとも訴えた。NATOが北極圏での関与を強めていることに触れ、西側諸国からの支えを感じていると述べた。さらに重要鉱物(critical raw materials、電池や先端技術に不可欠な鉱物資源を指す)をめぐるEUとの協力について、グリーンランドがEUの鉱物供給網の安定に貢献し、同時に自国経済の多角化につなげられる「ウィンウィン」の関係になり得ると述べ、欧州企業に対して早期の事業展開を促した。動きが鈍ければ他国の企業が先に進出しかねないとも警告している。EU加盟の是非を問われた際は、人口の少なさや行政機構の限られた規模を踏まえると「やや厄介」な問題になり得るとしつつも、選択肢として排除はしないと答えた。

背景

グリーンランドはデンマーク王国の一部でありながら、自治政府が内政の大半を担う自治領という特殊な地位にある。1979年に自治が始まり、2009年にはさらに自治権が拡大された。一方で外交・防衛はデンマークが担う枠組みが続いており、この二重構造がグリーンランドの立場を複雑にしているとみられる。人口は数万人規模にとどまるとされ、財政面ではデンマークからの補助金への依存度が高いという指摘もある。

トランプ氏はかつての大統領任期中からグリーンランド買収の意向を公言しており、今回の発言はその主張を改めて示したものとみられる。背景には、地球温暖化で北極圏の氷が減少し、航路や資源開発の可能性が現実味を帯びてきたことがあるとされる。北極海を通る航路が実現すれば、アジアと欧州を結ぶ既存の航路より距離を大幅に短縮できる可能性があるとの見方があり、レアメタルなど鉱物資源の埋蔵も注目されてきた。米国はグリーンランドに軍事拠点を置いてきた経緯もあり、安全保障上の関心も強いとみられる。こうした状況の中で、デンマークやEUは自国・地域の一部とみなす領域への米国の関与拡大に警戒感を強めているとされる。

日本にとっての意味

この問題は地理的に遠いものの、日本にとって無視できない接点がいくつかある。まず重要鉱物の調達をめぐる国際的な綱引きという点だ。日本は電池材料や先端産業に使う鉱物資源の多くを特定の国に依存しており、供給網の多角化は経済安全保障上の課題とされてきた。グリーンランドがEUとの協力で鉱物資源の新たな供給地になり得るという今回の発言は、こうした国際的な資源獲得競争の一端を示すものといえる。

また、北極圏をめぐる航路や安全保障の動向も、日本の海運や外交政策に長期的に関わってくる可能性がある。日本は北極評議会のオブザーバー国として北極圏の政策議論に加わってきており、北極海航路の実用化が進めば、日本の貿易ルートにも影響が及び得る。今回のグリーンランドをめぐる米欧間の緊張は、こうした北極圏の地政学的な変化が単なる遠い地域の話ではなく、資源や航路を通じて日本の産業にも波及し得ることを示す具体例として捉えられる。