ニジェール軍反乱未遂、政府がフランス関与を非難
ニジェール政府は現地時間9月4日、テレビで読み上げた声明で、8月29日に起きた軍の反乱未遂事件について、旧宗主国フランスが主導する広範な協力ネットワークが扇動したと非難した。フランスのバロー外相は翌5日、フランスの国際放送ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)で「単なる空想にすぎない」と述べ、関与を全面的に否定している。
何が起きたのか
現地時間8月29日、首都ニアメで不満を抱いた兵士たちが戦略拠点の軍基地を襲撃し、大統領府付近でも銃撃があった。軍とロシアの準軍事部隊がこの反乱を鎮圧した。ニジェール外務省によると、この騒乱で大統領警護隊の隊員3人が死亡した。フランスの通信社AFPは民間人を含め計5人が死亡したと伝えている。
ニジェールの閣僚評議会は現地時間9月4日、この襲撃事件についてフランスが主導する広範な協力者ネットワークが扇動したとの結論に至ったと発表した。声明は「この襲撃について相当な証拠が集められており、ニジェールはこの問題を国際裁判所に持ち込む権利を留保する」としている。これに対しフランスのバロー外相は現地時間9月5日、RFIに対し、フランスに責任のないことまでフランスに押し付けるいつものやり方だと反論した。RFIによると、これに先立つ現地時間9月1日には、ニジェール軍関係者がテレビに出演し、フランスに加えコートジボワールやベナンなど複数の国が反乱を支援したと非難していた。
背景
ニジェールでは2023年のクーデターでアブドラハマン・チアニ将軍が権力を掌握して以来、軍事政権がフランスとの関係を断つ動きを続けてきた。隣国のブルキナファソやマリでも同様の軍事政権が成立しており、この3カ国はいずれもフランスから距離を置き、ロシアとの関係強化に向かっている。背景には、フランスが長年、旧植民地だった西アフリカ諸国に軍を駐留させ、対テロ作戦などで影響力を保ってきた歴史があり、これに対する反発が軍事政権側の主要な政治的資源になっているとみられる。
一方でサヘル地域では、イスラム過激派勢力によるテロが依然として続いており、各国政府はその鎮圧に苦慮している。ロシアの準軍事組織は、この治安対策の担い手としてフランス軍に代わる形で影響力を広げてきたとみられる。今回の反乱未遂とその後の相互非難は、こうした対立構図の延長線上にある出来事といえる。ただし、フランスの実際の関与を裏付ける独立した証拠は、現時点で公にされていない。
日本にとっての意味
ニジェールは世界有数のウラン産出国で、原子力発電の燃料となるウラン鉱石の供給国のひとつとして知られてきた。こうした資源国の政治的混乱は、原料調達の安定性という観点で間接的に関わりうる問題である。
より大きな視点では、旧宗主国フランスと西アフリカ諸国との摩擦、そしてロシアがその隙間に影響力を広げるという構図は、日本が国際社会でどう資源外交や安全保障協力を組み立てるかを考える上での参考事例になる。日本は西アフリカに大規模な軍事的関与を持たないが、自由で開かれたインド太平洋構想などを通じてアフリカ諸国との関係強化を掲げてきた。旧宗主国への不信がロシアや他の勢力の影響力拡大につながるという今回のような事例は、外部大国が地域でどう受け止められるかという点で、日本の対アフリカ外交にも示唆を与えるものだろう。