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ブリスベンの高層オフィスタワー、銅色の楕円形日除けで覆う

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オーストラリア・ブリスベンの30階建てオフィスタワー「205 North Quay(ノース・キー205)」に、亜熱帯の厳しい日差しに対抗する銅色の楕円形シェード(日よけ)が取り付けられた。設計はオーストラリアの設計事務所ハッセルとリチャーズ&スペンス、米国のREXの共同で、地元の伝統家屋「クイーンズランダー」を参考に、気候に応答する建築を狙った。

何が起きたのか

銅色の楕円形シェードは、タワーの長手にあたる東西2面のファサードに設置された。設計チームによれば、従来型の日よけシステムより少ない材料で済む。直射日光の影響を抑えつつ自然光と眺望は確保し、通気性のあるファサードが自然換気を可能にして、建物全体のエネルギー消費を減らすという。

建物はブリスベン川の北岸に立つ。エレベーターなどを収めるコアをあえて北側に寄せることで、川に近い側のスペースを開放し、川と南岸の文化地区への眺望を確保した。東面には各階に植栽付きの屋外テラスが設けられ、日よけに覆われた外観に開口部のリズムを刻む。

地上レベルには、ビルで働く人にも一般の人にも開かれた日陰の屋外広場がある。屋上テラスに加え、25メートルのラッププール(周回用プール)とジムを備えたウェルネス専用フロアも設けられた。ハッセルのプリンシパル、リアム・ショート氏は「日よけと自然換気、重層的な屋外空間を使うことで、エネルギー需要を減らしながら、より健康的で快適な職場を作った」と説明する。

背景

着想源のクイーンズランダーは、ベランダと深い庇で日差しと熱をしのぐクイーンズランド州の伝統的な木造住宅だ。高層のガラスタワーが空調頼みになりがちなのに対し、このプロジェクトは伝統住宅の知恵を30階建てに移し替えたことになる。REX創設者のジョシュア・レイマス氏は、奇抜な形ではなく、ブリスベンの亜熱帯気候に合わせた高効率の外皮で細身の構造を包むことにビルの価値があると述べ、「ブリスベン川の上に浮かんでいるかのような並外れた感覚」を意図したと語る。

オーストラリアでは気候に応じた建築の動きが続いており、シドニーでは世界一高い木造タワーが上棟し、折り畳んだような金属ファサードの子ども病院も2026年5月に開院した。

日本にとっての意味

深い庇や縁側で日差しを調整する発想は、日本の伝統建築の得意分野でもある。ただ、現代日本のオフィスビルの多くはガラスカーテンウォールと空調でしのぐ設計が主流で、建物の外側で日差しを止める外付けシェードは、欧州ほど普及していないと指摘されてきた。

状況を変えつつあるのが制度だ。改正建築物省エネ法により、2025年4月から原則すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられた。猛暑が年々厳しくなるなか、空調で冷やす前に「そもそも日差しを入れない」という建築の基本に立ち返るブリスベンの手法は、伝統的な庇の知恵を持つ日本の設計者にとって、参照しやすい実例のはずだ。