感染症・健康

妊娠中のコロナ感染、脳の病気の多くと関連なし 言語発達に差も

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ノルウェーの研究チームが、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した母親から生まれた子どもについて、脳や神経の発達に関わる病気のリスクを調べた。8つの病気のうち7つでは、感染していない母親の子どもと差はなかった。ただし、ことばの発達に関する病気だけは、条件を絞った分析でリスクが高まる結果が出た。この研究成果は現地時間2026年9月3日、医学誌JAMA Network Openに掲載された。

何が起きたのか

研究チームは、ノルウェー公衆衛生研究所(Norwegian Institute of Public Health)を中心に構成されている。ノルウェーの全国登録データを用い、現地の2020年3月1日から2023年12月31日までに生まれた20万4663人の子どもを対象とした。妊娠中の感染のほとんどはオミクロン株によるものだった。

対象のうち1万6325人(8.0%)は、母親が妊娠中に新型コロナに感染していた。研究チームは自閉症、ことばの発達の障害、運動発達の障害、知的障害、てんかん、感覚障害など8つの神経発達・神経の病気について、母親の感染の有無との関連を調べた。

その結果、8つのうち7つの病気については、母親の感染の有無でリスクに差は見られなかった。自閉症を含む広汎性発達障害(pervasive developmental disorder、社会性やコミュニケーションの発達に幅広く影響する障害の総称)や、てんかんといった重い病気についても、増加は確認されなかった。

唯一異なる結果が出たのは、ことばの発達の障害だった。ただし差が確認されたのは、現地の2022年3月1日以降に生まれた子どもを除いて分析した場合である。この条件付きの分析では、母親が妊娠中に感染していた子どもはこの障害を持つリスクがおよそ2倍高かった。研究チームは、他の集団や環境でさらに研究を重ねる必要があると述べている。

背景

母親の新型コロナ感染と子どもの神経発達との関係を調べた研究はこれまでにもあるが、結果は一致していなかった。増加を示さなかった報告がある一方で、特定の病気で増加を示した研究もあり、今回の研究にはこうした食い違いを大規模なデータで検証する狙いがあったとみられる。

免疫反応が胎児の脳に影響するという仕組み自体は、以前から研究が積み重ねられてきた。研究チームは論文で、「妊娠中の免疫反応が胎児の脳の発達に影響することは、ヒトのデータと動物実験の両方が示している」と述べ、母体や胎盤で起きる免疫反応が、神経細胞どうしの新しいつながりができる過程や、脳内の配線が正しく作られる過程に影響しうるという考え方を紹介している。ただしこれはあくまで想定されている仕組みであり、今回のデータそのものがこの因果関係を証明したわけではない。

日本にとっての意味

日本でも2022年前後はオミクロン株の流行でコロナ感染者数が大きく増えた時期にあたり、妊娠中に感染した女性は少なくないとみられる。今回の結果は、自閉症やてんかんといった重い神経の病気については心配しすぎる必要はないという点で、妊娠中に感染した経験のある人には安心材料になると言える。

一方でことばの発達に関しては、今回の研究が示したのは単純な「差がなかった」ではなく、条件を絞った分析でのみ差が出たという限定的な結果であり、断定はできない。日本では乳幼児健診などを通じて子どもの言葉の発達を確認する仕組みがあるが、今回の研究結果が日本の子どもたちにも当てはまるかどうかは、現時点では分かっていない。妊娠中の感染歴がある家庭にとっては、こうした知見を過度に不安視するのではなく、通常の発達の確認を続けることが大切だと言えそうだ。