米ダコタ・ミネソタの七面鳥農場でH5N1鳥インフルが相次ぐ
米中西部の複数州にある七面鳥を中心とした商業養鶏場で、H5N1型鳥インフルエンザの発生が相次いでいる。過去1カ月で商業養鶏場8件、少数飼育の農家6件が感染し、合わせて36万羽が影響を受けた。乳牛でも新たな感染が確認されており、渡り鳥が南へ移動する季節の始まりを示す動きとみられる。
何が起きたのか
米農務省動植物検疫局(APHIS)によると、現地時間の9月1日以降、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ミネソタ州、アイダホ州の商業養鶏施設で7件のH5N1感染が確認された。ミネソタ州ライト郡の七面鳥農場では2万9800羽、サウスダコタ州マクファーソン郡の商業七面鳥施設では6万1300羽、同州ターナー郡では4万3800羽の七面鳥が影響を受けた。ノースダコタ州ラムール郡では4万1600羽、サウスダコタ州エドマンズ郡の種鶏繁殖施設でも3万200羽が感染した。
これとは別に、アイダホ州キャニオン郡とジェム郡で、庭先で少数を飼う農家でも発生が確認されている。過去30日間全体では、商業養鶏場8件と小規模飼育6件が感染し、影響を受けた鳥は合わせて36万羽にのぼる。
牛の間でも感染が広がっており、アイダホ州で新たに乳牛の群れ2件で感染が確認された。過去30日間ではアイダホ州とテキサス州で計5件の乳牛の群れへの感染が報告されており、今年に入ってからの牛での検出件数は88件に達している。
背景
今回確認されているのは、2021年から22年にかけて世界的に広がったとされる高病原性鳥インフルエンザの系統「クレード2.3.4.4b」の流れをくむウイルスとみられる。このウイルスは渡り鳥を介して大陸間を移動し続けており、北米では秋になると北方の繁殖地から南下する渡り鳥のルートに沿って感染が増える傾向があるとされる。
ミネソタ州は米国有数の七面鳥生産地として知られ、七面鳥は他の家禽に比べてウイルスへの感受性が高いとの指摘もある。商業養鶏場で感染が確認されると、感染拡大を防ぐため群れ全体を殺処分するのが一般的な対応とされる。乳牛への感染は2024年以降、米国内で確認されるようになったとされる比較的新しい現象で、酪農地帯を中心に断続的に報告が続いている。
日本にとっての意味
日本の鳥インフルエンザ流行も、シベリアなど北方の繁殖地から渡ってくる水鳥が晩秋以降に持ち込むウイルスが起点とされ、北米の流行と根を同じくするウイルスプールに由来するとみられる。例年、日本国内での本格的な発生確認は晩秋から冬にかけてで、北米で9月に感染が増え始めた今回の動きは、渡り鳥の移動が本格化する前触れとして参考になる。
農林水産省は、海外で家禽への感染が確認された地域からの家きん肉・卵などの輸入を停止する運用をとっており、米国内での発生状況は輸入品の扱いにも影響しうる。ヒトへの感染リスクは現時点で低いとされ、持続的なヒトからヒトへの感染も確認されていないが、渡り鳥の移動が本格化する前のこの時期、海外の発生動向は国内の防疫態勢を見直す材料として注視する価値がある。