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米政権、NATO加盟国にICC脱退を要求 裁判所の解体も明言

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米国がNATO加盟国に対し、国際刑事裁判所(ICC)からの脱退と支援打ち切りを迫っていることが分かった。政治専門メディアのポリティコの報道をアナドル通信が伝えた。要求は2026年7月中旬にブリュッセルで開かれた非公開会合で示され、米国務省は制裁拡大などさらなる措置も検討しているという。

何が起きたのか

米国のNATO大使マシュー・ウィテカー氏は7月中旬、ブリュッセルでの非公開会合でNATO加盟国に対し、ICCへの支援をやめ、ICCの設立条約であるローマ規程から脱退するよう働きかけた。米NATO代表部がまとめた外交文書は、ICCの能力を組織的に解体していく方針を示したうえで、「直ちに脱退に向けた措置を取るよう強く求める」と記した。文書はさらに、ICCがもたらす脅威を精査し、その行き過ぎを公然と非難するよう加盟国に求めた。

ウィテカー氏は「アメリカの側に立つのは誰か、注意深く見ている」と加盟国をけん制した。米国の外交官は欧州各国との二国間協議でも同じ問題を提起しているという。NATO加盟国のうち米国とトルコを除く多くはローマ規程の締約国である。

この要求に対し欧州側からは強い反発が出た。名前を明らかにしていない欧州の外交官の1人は、脱退を求める内容に衝撃を受けたと述べ、別の1人は米国の介入に失望を示したと伝えられる。フランス代表団はICCへの支持が揺るがないことを強調し、オランダのベーレンドセン外相も同裁判所への全面的な支持を表明した。ICCの広報担当者も、独立性と公平性を保ちながら任務を続ける方針を示したという。

一方、アナドル通信の取材に対し米国務省の担当者は、ICCとその支持者を対象に幅広い措置を検討していると説明した。国務省は、米国の法執行機関や軍と連携する国、あるいは米国の安全保障の傘の下にある国々に対し、ICCが米国の関係者を訴追する権限を認めないよう求めているという。ルビオ国務長官や副長官、各国大使らが外国政府に電話をかけ、ICCの問題点を挙げて脱退を促す計画も明らかにされた。検討されている措置には、ICC関係者への査証取り消しや渡航禁止、裁判所や関連団体への制裁拡大が含まれるという。

背景

ICCは、ジェノサイド(集団殺害)や戦争犯罪、人道に対する罪など重大犯罪の実行者個人を裁く常設の国際法廷で、オランダ・ハーグに拠点を置き2002年から活動している。国家ではなく個人を訴追する点が特徴で、国内の裁判所が機能しない場合に限って管轄権を行使する仕組みとされる。米国はICCに加盟しておらず、自国の軍人や政府関係者が訴追対象になることを一貫して警戒してきたとみられる。

今回の圧力の直接のきっかけは、ICCが2024年にイスラエルのネタニヤフ首相と当時のガラント国防相に対し、ガザでの戦争犯罪と人道に対する罪の疑いで逮捕状を出したことにあるとみられる。米政権は2025年2月、ICCの対米・対イスラエル関連の措置を理由に国家非常事態を宣言する大統領令を出し、その後ICCの職員らへの制裁を積み重ねてきた。2026年8月にはICC所長を務める赤根智子氏が制裁対象となり、これまでに18人の判事のうち9人が制裁を受けている。今回のNATO加盟国への働きかけは、この制裁圧力を同盟国レベルにまで広げる動きといえる。

日本にとっての意味

日本はNATO非加盟国であり、ブリュッセルでの直接の圧力対象ではない。だが米国務省が要求の対象として挙げたのは、米国の法執行機関や軍と連携する国、あるいは米国の安全保障の傘の下にある国である。日米同盟の下にある日本にも当てはまり得る。ICCへの向き合い方を巡って米国から同様の照会や働きかけが及ぶ可能性は否定できない。

日本はローマ規程の締約国であり、ICCの運営を支える主要な拠出国の一つとされる。ICCの所長を務める赤根智子氏はすでに米国の制裁対象に含まれており、検討されている査証取り消しや渡航禁止といった措置が現実になれば、日本人職員の活動にも直接影響が及ぶ可能性がある。同盟国が相次いでローマ規程を離れるような事態になれば、日本が続けてきたICCへの関与の意味合いも変わってくる。