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ロシア、外国人を人身売買同然にウクライナ戦線へ勧誘 アムネスティ報告

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ロンドンに拠点を置く人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ロシアが外国人を違法に人身売買(trafficking)同然の手口でウクライナ戦線に送り込んでいるとする報告書を、現地時間の9月10日に公表した。捕虜となった外国人への聞き取りをもとにまとめたもので、偽の求人広告で騙されてロシアに渡航し、到着後に軍との契約書へ署名させられたケースがあるとしている。ロシア側はこの指摘に対し、すぐには公式の反応を示していない。

何が起きたのか

報告書によれば、被害に遭ったのはブラジル、コロンビア、スリランカ、南アフリカなどの国籍を持つ人々で、一部は民間の仕事を装った求人広告に応じてロシアへ渡ったところ、到着後に軍への入隊を強いられたという。今年6月にはAFP通信も同様の手口を調査で明らかにし、高収入の民間の仕事を約束されたケニア人が結局は前線での戦闘に投入されていた実態を報じていた。

アムネスティのアニエス・カラマール事務局長はAFPの取材に対し、「勧誘した相手が人身売買の被害者であると分かっていながら関わっているロシア政府関係者は明らかに多く、彼らはこの現象に加担しており、責任を問われるべきだ」と述べた。カラマール氏は、勧誘の標的となる外国人の典型像として、40歳未満で比較的貧しい国に暮らし、「仕事の約束」に惹かれてしまう人々を挙げた。ロシアはこれまでも、外国人を強制的に入隊させているとの批判を否定してきた。

ロシア、ウクライナ双方とも、侵攻開始から4年半の間に数千人規模の外国人を自国軍に迎え入れてきた。ウクライナ側は今年4月時点で、136か国から2万8千人超の外国人がロシア軍で戦っていると推計を示した。また当局は、ロシアが2024年のウクライナ軍によるクルスク州への越境攻撃に対応するため、約1万4千人の北朝鮮軍兵士を投入したとみている。ウクライナ側も外国人兵士を受け入れているが、アムネスティはロシア国内で「外国の代理人(foreign agent)」として扱われているため、同国で拘束されているウクライナ側の外国人兵士については調査ができなかったとしている。両国とも、自国軍にいる外国人兵士の総数は公表していない。

背景

ロシアは2022年の侵攻開始以降、大規模な国民徴兵に踏み切ることを避け、契約制の高額報酬で兵員を募る方式に頼ってきたとされる。国内での反発を抑えつつ兵力を維持する狙いがあるとみられ、その延長線上で、経済的に苦しい国の人々を狙った海外での勧誘が広がったという指摘がある。求人詐欺という手口自体は、紛争地域に限らず世界各地の労働者搾取や人身売買で以前から使われてきたものであり、それが戦争という枠組みの中で再利用されている構図といえる。

北朝鮮兵士の投入も、この文脈の一部とみられる。国家間の公式な軍事協力という形をとる点で、個人を騙して集める手口とは性質が異なるものの、いずれもロシアが自国民だけでは前線の兵力を賄いきれていない実情を映しているとの見方がある。

日本にとっての意味

この報告は、ウクライナでの戦闘の帰趨だけでなく、戦争が世界中の脆弱な立場の人々を巻き込む形で拡大している実態を示している。とりわけ、約1万4千人とされる北朝鮮兵士の投入は、実戦経験を積んだ兵力が近隣国に蓄積されていくことを意味しうるという指摘があり、日本の安全保障を考える上でも無視できない材料になる。

また、偽の求人広告で経済的に苦しい人を騙して危険な仕事に就かせるという手口自体は、日本人にとっても遠い話ではない。海外での高収入の仕事をうたう求人詐欺は、労働搾取や特殊詐欺グループへの勧誘など、形を変えて日本人の被害としても報じられてきた。ロシアの事例は、そうした手口が戦争という極端な場面でも同様に使われていることを示しており、求人広告の裏側を疑う視点の重要性を改めて浮かび上がらせている。