色検知で焼き加減調整するトースター、Sage Appliancesが発売
キッチン家電ブランドのセージ・アプライアンシズが、パンの色の変化をセンサーで測って焼き上がりを判断するトースターを発売した。セージは、オーストラリアのブレビル・グループが英国と欧州で使うブランド名だ。使う人が指定するのは加熱する時間ではなく、焼き色をどのくらい濃くするかだ。同社はこれを「トーストの技術革新における突破口」と呼んでいる。
何が起きたのか
「Eye Q」と名づけられたこの製品は、2つのセンサーでパンを見張り、狙った濃さに達した時点で自動的に押し上げる。理屈のうえでは、焦がすことが起こりえない仕組みだ。
「時間は誤った尺度だ」と、同社の研究責任者トム・グラウンデス=ピース氏はDezeenに語る。「この企画に取りかかったとき、すべてのトースターに問題があると気づいた。世界中のどのトースターも、根っこの技術は同じで、時間に頼っている」
パンの種類によって焼けるまでの時間は違うため、タイマーは最適な手段ではないというのが同氏の主張だ。「色を選んだ理由は、それがあなたや私がトーストの焼き上がりを判断するやり方だからだ。ただ見るだけで、自分の好みに焼けたかどうかが目でわかる。だから製品名がEye Qなのだ」
センサーはパンの状態を1秒あたり最大10回監視し、必要な色に届いたかどうかを検知する。この仕組みには特許が取られている。厚みやパンの種類が変わっても調整の必要はなく、白パンからライ麦パンまで対応し、サワードウとクランペット専用の設定も備える。グラウンデス=ピース氏によれば、外の皮が焦げやすく中がふわふわしたサワードウが最大の難所だった。
背景
開発で最も苦労したのは、トースター内部という高温の環境で色の変化を捉えられるセンサーを作ることだったという。
「私たちが求めた形式で光学的な検知を行う部品、つまり食品の色の変化を検知するものは、市場に存在しなかった」とグラウンデス=ピース氏は言う。「部品の供給元は色の変化というだけでも難題だと考えていた。そこに私たちが『しかもトースターの真ん中という猛烈に熱い場所に入れて、それで1万回も焼き続ける』と言ったわけだ」
一方で、操作の見た目は単純に保たれている。目立つ始動・停止ボタンがあり、その下に焼き色を決めるボタンが並ぶだけだ。設定を頻繁に変える必要はないという前提で、できる限り簡素にした。
「際立っているのは始動・停止のボタンで、本当に触ってほしいのはそれだけだ」と同氏。「一度好みの焼き色を選んだら、もう調整しないと考えている。気に入った設定のままにして、毎日あの大きなボタンを押すだけ。それが簡潔さだ。複雑なことは内側で起きていて、使う人はそれを知ることさえない」
色のセンサー以外にも、パンを自動で下ろして持ち上げる機構が付く。上面は継ぎ目のないセラミック加工で掃除がしやすく、電源コードは収納式で長さを調整できる。2枚焼きと4枚焼きの2種類が用意されている。
日本にとっての意味
日本で高級トースターという市場を切り開いたのは国内メーカーの製品だった。バルミューダが2015年に発売した「BALMUDA The Toaster」は、スチームと精密な温度制御で焼きたての味を再現するとうたい、2万円を超える価格帯にもかかわらず売れ続け、この機種単体で出荷150万台を超えた。グッドデザイン賞の金賞も受けている。
ただし両者が制御している対象は正反対だ。バルミューダが精緻に操るのは熱と水分、つまりパンに加える条件のほうで、時間で区切る枠組み自体は変えていない。対してEye Qは条件には踏み込まず、焼けた結果そのものを見て止める。入力を磨き上げるか、出力を測って判断するか。同じ「おいしく焼く」という目的に対して、設計の哲学が分かれている。
この違いは日本の家電が得意としてきた作法にも関わる。細かな設定と多機能で応えるやり方に対し、グラウンデス=ピース氏は「複雑なことは内側で起きていて、使う人はそれを知ることさえない」と語り、表に出すボタンを削る方向を選んだ。食パンが主食に近い位置を占め、厚切りが好まれる日本の食卓で、この考え方がどう受け止められるかは見どころになる。