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米司法省、ロシア情報機関の暗殺計画に関与した疑いで5人起訴

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米司法省は、ロシアの情報機関と結びついて米国と欧州にいるロシアの反体制派を監視し、暗殺や襲撃を図ったとされる5人を起訴したと発表した。起訴状によれば、被告らは「ロシア情報機関ネットワーク(Russian Intelligence Services Network)」と検察が呼ぶ組織の一員とされる。5人はいずれも逮捕されておらず、起訴段階であり有罪が確定するまでは無罪と推定される。

何が起きたのか

起訴されたのは、ロシア国籍のユーリ・フラメーエフ被告(63)とその息子キリル・フラメーエフ被告(27)、キューバ国籍のオエミス・ロマゴサ・ドゥルティ被告とヤイデル・デルガド・スアレス被告(いずれも35)、ベネズエラ国籍のアンヘル・エドゥアルド・カストロ被告(22)の5人。全員がテロ資金の提供を共謀した罪(資金を集めてテロ活動を支援しようとしたとされる罪)で起訴され、父親のユーリ被告とスアレス被告、カストロ被告の3人は、報酬を払って殺人を請け負わせようとしたとされる「マーダー・フォー・ハイア(murder for hire)」の共謀罪でも起訴されている。

起訴状によれば、このネットワークは少なくとも2024年から活動し、米国と欧州にいるロシアの反体制派や亡命者を標的にしてきたとされる。2026年7月から8月にかけて、スアレス被告とカストロ被告はニューヨーク・ブルックリン在住の人物を勧誘し、ワシントンDC近郊に住んでいるとみられる著名なロシア反体制派について、関連する2カ所を監視させようとしたという。起訴状では、この人物には写真撮影と記録の見返りとして1000~1500ドルが提示され、標的を「排除する」「消す」ための報酬としてさらに4万ドルが持ちかけられたとされる。

起訴状はまた、このネットワークの関係者が2024年、チェコとリトアニアでウクライナ支援国とみなされる国のインフラを狙った作戦を調整していたとも主張している。ドゥルティ被告はこうした作戦の参加者の渡航や後方支援を手配したとされ、スアレス被告は勧誘役だったと検察は説明している。捜査は米連邦捜査局(FBI)のニューヨーク支局とワシントン支局が、国土安全保障省の捜査部門の協力を得て進めてきたという。米司法省で国家安全保障を担当するジョン・アイゼンバーグ次官補は、米東部時間の9月15日に出した声明で「これらの被告は、米国内にまで及ぶ世界規模の暗殺ネットワークの一部として活動していたとされる」と述べた。

背景

ロシアの情報機関が国外に逃れた反体制派や元スパイを標的にしてきたとされる例は、これまでも繰り返し報じられてきた。英国で起きた元ロシア情報機関員の毒殺未遂事件などが知られており、ロシア政府はこうした関与を否定してきたとされる。

また、起訴状が指摘するチェコやリトアニアでのインフラを狙った作戦は、ウクライナへの軍事支援や物資輸送を担う国々を揺さぶる目的があったとみられる。欧州では近年、ウクライナ侵攻後にこうした破壊工作やスパイ活動の摘発が相次いでいる。

日本にとっての意味

起訴状にある勧誘の手口は、少額の報酬で監視や撮影をさせ、成功すればさらに高額な報酬を約束する段階的な誘い方だった。これは日本で社会問題化している「闇バイト」による強盗や特殊詐欺の勧誘パターンと似た構造を持つ。実行役が事件の全体像を知らないまま末端の作業だけを担わされる点も共通しており、越境的な犯罪組織が匿名の応募者を使い捨てにする手口として、日本の読者にも身近な文脈で理解できる。

日本はロシアのウクライナ侵攻を受けて対ロシア制裁に参加し、ウクライナを支援する立場を取っている。起訴状が名指ししたチェコやリトアニアと同じく、日本もウクライナ支援国の一つに数えられる。もっとも、日本に住むロシアの反体制派や亡命者の数は欧米に比べて少なく、直接の標的になる可能性は相対的に低いとみられる。それでも、情報機関が第三国の国籍者を使って標的国の外で工作を実行するという手法自体は、日本の安全保障当局が海外の要人警護や在留外国人の保護を考える上で参考になる事例といえる。