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米デンバー、座席付き電動三輪車をシェア導入 立ち乗りが難しい人にも

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米国でシェア電動キックボードや電動アシスト自転車を展開するVeo(ヴィオ)が、座席付きの電動三輪車「Rover」をコロラド州デンバーで2026年7月28日(現地時間)に試験投入した。立ち乗りが難しい高齢者や障害のある人でも使える車両として、障害者団体や当事者と共同で設計した点が特徴だ。まずはダウンタウンに50台を置き、利用者の反応を見ながら市内全域への展開を検討する。

何が起きたのか

Roverは3つの車輪で車体を支え、低い位置にクッション入りの座席を備えた電動車両だ。前後に荷物かごが付き、食料品や旅行かばんのほか、移動補助具も積める設計で、積載量は最大約45キログラム(100ポンド)。スロットルによる走行補助で身体的な負担が小さく、坂道も上りやすい。3輪構造でバランスを取りやすい点も利点だ。最高速度は時速約16キロ(10マイル)で、近所への移動を想定した速さに抑えている。

Veoは60以上の都市や大学でシェア型の自転車・電動キックボードを運営する事業者で、車両は自社で設計・製造している。デンバーではすでにバイクとキックボードを合わせて9千台を展開しており、Roverはその5種類目となる。

開発は2024年初めに始まり、パーキンソン病財団やキャピトル・ヒル・ビレッジなど20以上の団体や、数百人の利用者を交えて進められた。2025年に実施した年次の利用者調査では回答者の24%が自身に障害があると答えており、この結果も乗車姿勢や荷物の積み方など設計全般に反映されたという。非運転者の支援団体「ノンドライバーズ・アライアンス」の代表で著書もあるアナ・ジヴァーツ氏は「これまでシェア型のマイクロモビリティは、多くの障害のある人や、立ち乗りのキックボードやペダル式の自転車を使うことに抵抗を感じる人々を長らく締め出してきた」と述べている。

背景

米国では2018年前後からドックレス型(専用の駐輪ラックを使わない)のシェア電動キックボードが都市部に急速に広がり、立ち乗りのキックボードが業界の標準的な形になったとされる。この立ち乗りという姿勢そのものが、バランス感覚や下半身の力を前提にしており、高齢者や一部の障害者を事実上締め出してきたという指摘がある。Veoは座席付きキックボードの導入などを通じてこの課題に取り組んできたとしており、Roverはその延長線上にある、同社初の電動三輪車という位置づけになる。

日本にとっての意味

日本ではすでにシニアカー(電動車いすの一種)や電動アシスト付きの三輪自転車が個人向けに販売されており、座席付きの低速電動車両という考え方自体は目新しいものではない。むしろ日本に乏しいのは、これを「個人所有」ではなく「シェアサービス」として、しかも障害者団体や当事者を交えて設計する発想だ。国内でも電動キックボードのシェアサービスが都市部で広がる一方で、高齢化も進んでおり、立ち乗りに不安がある人をどう取り込むかは今後の課題になり得る。

もう一点、日本には2023年7月1日に施行された改正道路交通法で新設された「特定小型原動機付自転車」という区分があり、主に電動キックボードを想定した制度とされる。座席付きの三輪車をシェア車両として日本に導入しようとした場合、この区分にどう当てはまるのかという問題が生じうるとの見方もある。Roverはいまのところデンバーのシェア車両としてのみ提供されており、個人向けの販売はない。米国発のこうした動きは、日本のシェアモビリティ事業者が次にどんな車両をそろえるべきかを考えるうえで、参考になる事例といえそうだ。