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アルゼンチン、フォークランド諸島の資源開発に罰則を強化する法案を議会提出

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アルゼンチンのハビエル・ミレイ政権は、南大西洋のフォークランド諸島(アルゼンチンでは「マルビナス諸島」と呼ぶ)を巡る主権の主張を法的に強化する法案を議会に送った。周辺海域での無許可の天然資源開発に対する罰則を大幅に強めるほか、国家安全保障を統括する新たな体制の創設も盛り込んだ。英領地域での石油開発計画に司法の停止命令が出た直後の提出となった。

何が起きたのか

現地時間9月17日、大統領府は声明で法案の提出を発表した。「わが国の天然資源を不法に採取する者を処罰し、そうした活動をやめるよう促し、国家に外部の脅威から身を守る手段を与える、という3つの柱に基づいている」と説明している。

この法案は、フォークランド諸島とその周辺海域での資源関連活動を規制する2011年制定の法律を置き換えるものだ。従来は石油・ガスなど炭化水素分野に限られていた規制対象を、再生可能・非再生可能を問わずあらゆる天然資源の無許可開発に広げる内容になっている。

罰則も強化される。罰金は法定通貨単位で4000から50万単位に上り、許可の取り消しや停止、5年から20年の事業停止処分が科される可能性があるという。

あわせて、「国家安全保障評議会」が調整し、外交・経済・防衛・法務・情報・サイバーセキュリティの各機能や重要インフラ、国家主権に関わる対応を一元的に担う「国家安全保障システム」の新設も盛り込まれた。

背景には、アルゼンチン政府がフォークランド諸島周辺で資源開発に関わる企業への圧力を強めてきた経緯がある。法案提出の直前、現地の9月16日にはアルゼンチンの連邦裁判所が、イスラエル企業ナビタス・ペトロリアムと英国企業ロックホッパー・エクスプロレーションが関わる「シーライオン」洋上石油開発計画の作業停止を命じていた。アルゼンチン政府は、同海域での資源開発にはアルゼンチン当局の許可が必要だと主張している。法案は今後、議会の委員会審査を経て下院で審議される見通しだ。

背景

フォークランド諸島(アルゼンチン名マルビナス諸島)は英国が実効支配する南大西洋の諸島で、アルゼンチンが古くから主権を主張してきた係争地だ。1982年には両国間で戦争が起き、英国が勝利して以降も実効支配が続いている。この係争には、島そのものだけでなく、周辺の排他的経済水域(EEZ)に眠るとみられる石油・ガス資源や漁業資源を巡る対立という側面も強い。

2011年の法律も、こうした資源開発を巡る緊張の中で作られたものとみられる。今回の法案がその規制範囲を炭化水素以外にも広げ、罰則を強めた背景には、洋上油田開発計画が具体化し、外国企業の関与が続いていることへの危機感があるとみられる。ミレイ政権は経済の自由化路線で知られるが、領土主権を巡っては歴代政権同様、強い姿勢を示している。

日本にとっての意味

今回の法案は、係争地の資源に対して当事国が国内法でどこまで管轄権を及ぼそうとするかを示す具体例だ。罰金や事業停止、5年から20年の操業禁止といった重い制裁を法制化する動きは、EEZや大陸棚を巡る紛争を抱える国が資源主権をどう執行しようとするかの一つの手掛かりになる。

日本も尖閣諸島や排他的経済水域を巡り近隣国との認識の相違を抱えており、資源開発や海洋調査を巡る主張のぶつかり合いとは無縁ではない。また、フォークランド諸島沖の開発に関わっていたロックホッパー・エクスプロレーションのような企業の事業が政治情勢や司法判断で停止に追い込まれる事例もある。海外の係争海域で資源開発事業に投資する日本の商社やエネルギー企業にとっては、法的リスクの評価材料として参考になる。