ラスベガスのNFL球場、駐車場2区画を広場に転換へ 地下トンネル駅も設置
米ラスベガスのNFL球場アレジアント・スタジアムで、入口前の駐車場を広場に変える計画が公表された。設計は建築事務所グリムショー。平らなアスファルトを、人が集まれる台座と乗り換えの拠点に作り替える案で、地下にはイーロン・マスク氏が所有するボーリング・カンパニーのトンネル駅が入る。
何が起きたのか
グリムショーが公表したのは、スタジアムの入口部分を作り直す設計案だ。駐車場を交通インフラと歩行者用の通路に転換する。
この計画は、市がボーリング・カンパニーの地下トンネル網に肩入れしていることと、スタジアムに隣り合う区域で駐車場から離れていく動きの両方を示している。
「米国のスポーツと娯楽の分野で最も過小に評価されている土地の一つが、すでに人を集めている会場のすぐ隣で空いているアスファルトだ」と、グリムショーのパートナー、アンドリュー・バーン氏は述べた。
対象は、スタジアムに隣接する駐車場2区画だ。ここが「ノース・プラザ」と呼ばれる広場になる。
完成予想図によると、台座は州間高速道路15号線をまたぐ道路の高さに合わせて持ち上げられ、そこから現在の駐車場に向かって下っていく。人が集まれる広い面を持ち、一部は半透明の覆いで屋根がかかる。台座へは大階段が上がる。
覆いの下には車線が通り、15号線に沿って走るディーン・マーティン・ドライブにつながる。
ボーリング社の駅は地下に作られる。グリムショーの広報担当者によれば、ラスベガス・コンベンションセンターにある駅と同じ形式だ。
実現すれば、この駅は市の地下に張りめぐらす構想「ラスベガス・ループ」の一部になる。ループには現在、計画中のトンネル網につながる地下駅が2つある。認可を受けた約105キロメートル(65マイル)のトンネルのうち、完成しているのは一部にとどまる。
背景
ボーリング・カンパニーは米国の実業家イーロン・マスク氏が所有し、トンネルの中はテスラの電気自動車で移動する。
ノース・プラザの造形は、黒い外装のアレジアント・スタジアムによく似たものになる。同スタジアムは米国の建築事務所マニカ・アーキテクチャーが設計し、NFLのラスベガス・レイダーズが本拠地としている。
台座の端には円形の構造物が置かれる。バーン氏はこれを、屋外の催事場と日除けを将来置くための「仮の置き場」と説明した。
台座の下には主要な通路が通り、スタジアムの入口と、残る駐車場のいくつかを結ぶ。ライドシェアの乗降場所も台座の下に設けられる。
グリムショーによれば、台座は入口を良くするだけでなく、観客が集まる場所としても働く。
ボーリング社は2025年、ドバイでも同様の地下トンネル網の整備について現地当局と合意している。
日本にとっての意味
会場を囲む駐車場を「過小に評価されている土地」と呼び、そこに軌道系の駅と広場を置く。日本には、これとちょうど逆の順序で同じ問題に向き合っている場所がある。北海道北広島市のエスコンフィールド北海道だ。
2023年3月に開業したこの球場は、周囲を駐車場が囲んでいる。最寄りのJR北広島駅からは約2キロメートル離れ、歩けば20分ほどかかるため、観客の多くはシャトルバスか車に頼る。試合のある日に球場の駐車場を使うには事前に駐車券を買う必要があり、売り切れたときは公共交通機関を使うよう案内される。
そこで後から鉄道を引くことになった。JR北海道は2024年7月、球場の隣に新駅を作る工事に着手した。球場まで約300メートル、歩いて4分の位置で、2028年夏ごろの開業を目指す。関連工事を含めた総工費は90億円、うち新駅そのものが約80億円で、北広島市の実質負担は32億円とされる。北広島駅の側もホームを延ばし、列車の停車位置をずらして混雑を散らす対応を取ってきた。
向きは逆でも、抱えている問題は同じだ。会場のまわりに大きな駐車場を置く形は、来場のたびに周辺の道路を詰まらせ、ふだんは空いたアスファルトを残す。ラスベガスはその2区画を潰して広場と駅に変え、北海道は駐車場を前提に建てた後から線路の側を寄せている。
違いは誰が負担するかにある。ラスベガスで地下を掘るのは民間のトンネル会社で、北海道では鉄道会社と自治体が工事費を分け合い、北広島市が32億円を背負う。
北海道の例が示すのは、駐車場前提で会場を建てた後に軌道を足すには、開業から5年と90億円がかかるということだ。ラスベガスの案は、その順序を最初から組み替えようとしている。