米ミネソタ州で七面鳥に鳥インフルエンザ、野生の水鳥でも検出増加
米国で野生のカモ類を中心にH5N1型の鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザウイルスの一種)の検出が増えている。中西部ミネソタ州では現地時間9月10日から15日にかけて、3つの家きん(鶏や七面鳥など食用に飼われる鳥)施設で感染が確認された。
何が起きたのか
米農務省(USDA)動植物検疫局(APHIS)の報告によると、ミネソタ州のビッグストーン郡とベッカー郡にある商業用七面鳥農場で感染が起き、影響を受けた鳥はそれぞれ5万5700羽と4万4400羽だった。オッター・テイル郡ではひな用の卵を採る農場でも1万8000羽が影響を受けた。
直近30日間では、高病原性(感染した鳥が死ぬ割合が高いタイプ)の鳥インフルエンザで16の群れが陽性と確認され、うち10は商業農場のもの、6は「裏庭の群れ」(backyard flock、自宅の庭などで少数の鶏を飼う形態)のものだった。影響を受けた鳥は合わせて約40万羽にのぼる。
野生の鳥での検出も9月に入り増えており、ある郡では30件近く、ユタ州の1郡では20件ほどが確認された。ほかの州でも件数は少ないものの検出が続いている。これらはいずれも、マガモなどの水鳥で確認されたものだった。
背景
H5N1型は高病原性鳥インフルエンザウイルスの系統の一つで、2020年代に入って世界各地の野鳥や家きん、さらに一部の哺乳類にまで感染が広がっているとされる。カモなどの水鳥は感染しても症状が出にくく、ウイルスを保持したまま長距離を移動する自然宿主とみられている。渡りの時期に合わせて検出数が増える傾向があるとの指摘があり、今回の野鳥での検出増加もその一環である可能性がある。
ミネソタ州は米国有数の七面鳥の産地として知られる。家きん施設でいったん感染が確認されると、拡大を防ぐため群れ全体を殺処分するのが一般的な対応とされる。今回の3施設で影響を受けたとされる鳥が多いことは、こうした対応の規模の大きさを示している。
日本にとっての意味
北米とユーラシア大陸では渡り鳥の主な経路(フライウェイ)が異なるため、米国での検出がそのまま日本への直接の脅威になるわけではない。ただしアラスカやベーリング海周辺では両大陸の経路が交わり、北米系統とユーラシア系統のウイルスが混ざり合うことがあるとの指摘がある。また、秋に野生の水鳥での検出が増えるという季節の傾向は北米にも日本にも共通してみられる。
日本でも例年、秋から冬にかけて渡り鳥の飛来とともに野鳥や養鶏場でのH5N1型の検出が報告されており、環境省や自治体による野鳥の監視が続けられている。国内で家きん施設に感染が広がった場合、群れ全体の殺処分や周辺地域からの卵・鶏肉の移動制限といった対応が取られる仕組みがある。米国の状況は、こうした国内の警戒がなぜ必要かを考える手がかりになる。