マイアミ川沿いに60階建て ブガッティが米国初のブランド分譲住宅、183戸
マイアミ川のほとりに、60階建ての高層住宅が計画されている。住戸は183、ペントハウスが4。建てるのも売るのも不動産会社だが、塔に名前を出すのは自動車ブランドのブガッティだ。同ブランドが米国で手がける初のブランド住宅になる。
何が起きたのか
名称は「Bugatti Residences Miami」。設計は米建築事務所のBrandon Haw Architectureで、183戸とペントハウス4戸の内装はすべてYabu Pushelbergが担当する。事業を進めるのはProsper GroupとVersluys Groupの2社だ。
今回公開された完成予想図では、塔が四つの塊に分かれている。塊と塊のあいだには、2層分の高さの吹き抜けが挟まる。
意匠の下敷きは二つだとブガッティは説明する。マイアミの建築と、スーパーカーの形である。加えて、1930年代のブガッティ車に使われていた「Cライン」と呼ばれる線の意匠を取り入れたという。
ブガッティにとって初のブランド住宅ではない。2023年に、ドバイで最初の住宅高層棟の計画を明らかにしている。米国では今回が初になる。
ブガッティ・インターナショナルのマネージングディレクター、ヴィープケ・ストール氏は、「マイアミの大胆な建築、創造的な気風、そして世界的な訴求力」がこの街を次のブガッティ・レジデンスの舞台として魅力あるものにしていると述べた。細部の設計から運営とサービスまで一貫して考え、ほかにない住まいの体験を作るのが狙いだという。
背景
建設地はマイアミのブリッケル地区で、いま開発が集中している。Foster + Partnersが設計した54階建てとSOMによる51階建ての計画があり、ファッションブランドのドルチェ&ガッバーナは90階建ての塔を進めている。
自動車ブランドの塔も、この街では珍しくない。Dezeenはポルシェ、ベントレー、メルセデス・ベンツ、アストンマーティンの名を挙げている。ブガッティの計画は、その列に加わることになる。
Prosper GroupのCEOジェイ・ロバーツ氏は、この計画が高級ブランドの中で最も評価の高い一つと、高級不動産の未来を形づくる都市とを結びつけるものだと述べた。同氏によれば、マイアミは富の移動と機関投資家の資金が集まる場所になっており、水辺に面したブリッケルはその中心にあたる。米国でブガッティがブランド住宅を始める場所としては自然だという。
日本にとっての意味
住宅に有名ブランドの名を冠して売る手法は、東京にもある。ただし名を出しているのは自動車ではなく、ホテルの運営ブランドだ。
麻布台ヒルズの森JPタワーは、54階から64階までが「アマンレジデンス東京」になっている。全91戸で、この街全体の開業は2023年11月だった。ティールームや図書室に加え、専用のシェフが料理を出すダイニング、25メートルのプール、1400平方メートルのスパが付く。東京ミッドタウンにも、リッツ・カールトン東京が運営するレジデンスがある。
この型では、名前を出す側が運営とサービスも担う。アマンの名で売られているのは、アマンのホテルで受けられるのと同じ手当てである。ブガッティの側も設計から運営まで一貫して考えると述べてはいるが、実際に塔を設計し、内装を作り、事業を回すのはいずれも別の会社だ。車の会社から来るのは名前と、1930年代の車に引かれていた線である。
日本の自動車メーカーが土地に出ていくときの形は、また違う。トヨタは静岡県裾野市の東富士工場跡地に「Woven City」を作った。2025年9月25日にフェーズ1で実証を始め、住民は同月から住み始めている。ここで暮らす人は「Weavers」と呼ばれ、生活しながら製品やサービスの実証に加わる。将来は2000人ほどが暮らす街を見込む。一般の見学者を受け入れるのは2026年度以降とされている。
マイアミと裾野は、どちらも自動車の会社が人の住まいに出ていく話だ。違うのは、住む人が受け取るものである。マイアミで売られているのは名前で、住む人は顧客だ。裾野で提供されているのは場所で、住む人は実証の参加者になる。「車の会社が関わった住まい」という同じ言葉が、太平洋の両側でまるで別のものを指している。