プーチン氏、軍定員を244万人に拡大 大統領令で15,500人増
ロシアのプーチン大統領が現地時間9月28日、軍の定員を総計244万1630人に引き上げる大統領令に署名した。うち現役軍人は155万500人で、7月の改定時点(242万6130人、現役153万5000人)から1万5500人の増員となる。政府には、この定員を維持するために必要な予算を国防省に配分するよう指示した。
何が起きたのか
ロシア政府の法令情報ポータルで公表された文書によると、今回の大統領令は軍の「定員(authorized strength)」を244万1630人に引き上げるもので、このうち現役軍人は155万500人にあたる。プーチン氏は7月にも定員を242万6130人(現役153万5000人)に引き上げたばかりで、今回はそこからさらに1万5500人を積み増した形になる。
大統領令はあわせて、この拡大した定員を維持するのに必要な連邦予算を国防省に割り当てるよう、ロシア政府に指示した。定員の数字を先に決め、それを賄う予算は後から手当てするという順序になっている。
背景
ここでいう「定員」は、実際に軍に所属している人数(実員)ではなく、法令上認められた枠の大きさを指す。ロシアでは軍の定員を大統領令1本で改定でき、国会審議を経る必要はない。プーチン氏は2022年のウクライナ侵攻開始以降、たびたびこの定員を段階的に引き上げてきており、今回の改定もその延長線上にある。
定員の引き上げは、実際に必要な人員を確保できているかどうかとは別の話だ。枠を広げても、それを満たす兵員を集められるかは課題として残る。今回の大統領令が実際の動員数や徴兵制度にどう結びつくかについて、資料には具体的な記述がない。
日本にとっての意味
日本にも軍の「定員」にあたる枠がある。自衛官の定数は防衛省設置法第6条に総計24万7154人と書き込まれており、変更には国会で法案を通す必要がある。2025年の改正でも、陸上自衛隊の364人分を他部隊へ振り替えただけで総数は動かなかった。2027年度末まで総数を増やさないとする防衛力整備計画(2022年12月閣議決定)の方針に沿ったものだ。
ロシアが大統領令1本で枠を増やし予算を後から手当てするのに対し、日本では枠そのものが法律の数字として固定され、動かすのに国会の手続きを要する。もっとも日本側の実務上の課題は枠の大きさではなく中身にある。2026年3月末時点で定員24万7154人に対し現員は21万7701人で、充足率は88.1%にとどまる。枠を広げる以前に、決められた枠すら満たせていない状態が続いている。