SNSもブラウザーもない子ども向けAI携帯「Freckle」 虫探しの課題を出し、親の監視は最小限に
スタートアップのFreckle(フレックル)が、7〜13歳の子ども向けにAIを使った携帯電話をつくった。親の制限や監視からひと息つけるよう、探検を軸に設計したという。工業デザインはデザインスタジオのボディ・ショップが手がけ、頑丈なケースにひもを付け、探検に持ち出す双眼鏡のように首から下げられる形にした。米国から売り出し、2026年12月に出荷を始める見込みである。
何が起きたのか
電話とメッセージは、親が認めた相手とだけやりとりできる。SNSやウェブブラウザー、アプリストアなど、依存を招きそうなものは一切載せていない。代わりに、独自の基本ソフト「ClayOS」に子ども向けの機能をそろえた。
「クエスト」は、公園で5種類の虫を見つけるといった課題に挑むアプリで、用意された課題のほか親が考えた課題も出せる。「ディスカバリー・カメラ」は、撮った虫や動物、植物、物の情報を調べられる。子ども向けの地図や、前もって入金した残高で払う機能もあり、近所の散歩やバスでの移動を一人でこなせる。トランシーバー機能も付く。
AIを使うのは、質問に答える魔法使い、カメラの映像から物や生き物を見分ける分類役、家族や友だちと物語をつくる語り手の3つで、それぞれにキャラクターがいる。どれも外せる。何でも話せるチャットボットはなく、子どもが入れ込みすぎると批判されることもある「AIの相棒」を目指したものでもない。
親は、子どもがあらかじめ決めた「安全圏」を出たときに通知を受ける。いじめのような気になる話題に子どもが触れたときにも知らされるが、すべての行動記録は受け取らない。会社は、保護者の確かな同意を求めること、データの保存期間を限ること、データをAIの学習に使わないことも約束している。
背景
創業者のサム・テリス氏は、植物由来の食品会社シミュレートを立ち上げた人物で、出資者にはレディット共同創業者のアレクシス・オハニアン氏と、その投資会社セブン・セブン・シックスが名を連ねる。テリス氏が解決したかったのは、子どもが自分で行動する機会の少なさだ。自分で決め、危険を見極め、問題を解く経験が奪われているという。
同氏は、この分野の製品の多くは親の便利さのためにつくられ、監視と管理に偏りがちだと話す。安全の仕組みは備えるが、子どもが手綱を握るよう促すのと同じだけ、親にも手綱を緩めるよう求めているという。
日本にとっての意味
日本では、子どものスマートフォンを大人が管理する仕組みが法律にも組み込まれている。青少年インターネット環境整備法は、携帯電話会社や販売店に、使う人が18歳未満かを確かめ、有害な情報を遮るフィルタリングの必要性を説明し、端末を売るときには、保護者が断らない限りフィルタリングを有効にしておくよう義務づけている(13条、14条、16条)。
家庭でも管理は広く行われている。こども家庭庁の令和6年度調査によると、子どもがスマートフォンでネットを使う保護者の84.6%が、何らかの方法で子どものネット利用を管理していた。多かったのはフィルタリング(45.8%)、年齢に合ったサービスやアプリを使わせる(39.2%)、使ってよい時間や場所を決める(37.2%)である。
いずれも、見せない、使わせないことで子どもを守る考え方だ。Freckleは、危ないものを載せないことに加え、外へ出て自分で動く時間を子どもに与えようとしている。