気候・災害

ネットゼロ銀行同盟の下でも、石炭融資は横ばいだった

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国連の呼びかけで2021年に発足した「ネットゼロ銀行同盟(Net-Zero Banking Alliance, NZBA)」の創設メンバーだった大手銀行が、その後も石炭企業への融資や引受(underwriting、債券・株式の発行を引き受ける業務)を続けていたことが、ドイツの環境調査団体Urgewaldの新しい報告でわかった。NZBAは2025年10月に解散している。

何が起きたのか

Urgewaldが公表したデータによると、バンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、シティバンク、ドイツ銀行、サンタンデールといったNZBA創設メンバーは、2022年から2025年にかけても石炭関連企業への融資・引受を続けていた。石炭融資に関わっていたNZBA加盟行のうち、増やした行と減らした行はおよそ半数ずつだったという。

サンタンデールの会長アナ・ボティン氏はNZBA発足時、創設メンバーに加わったことを「誇りに思う」と述べていたが、同行は以降も米国の石炭火力発電事業者デュークエナジーやサザン・カンパニーなどに毎年数億ドル規模の融資・引受を提供し続けたとUrgewaldは指摘する。スイスのUBSのように減らした行もあれば、トリオドス銀行やケニア商業銀行のように少なくとも2021年以降、石炭企業への支援をしていない行もある。

背景

NZBAは、国連の「Race to Zero」キャンペーンと連携し、気候変動の国際会議COP26を前に2021年に発足した銀行版の「ネットゼロ」連合だった。ただしRace to Zeroと異なり、化石燃料への融資の終了を加盟の条件にはしていなかった。この設計の弱さについては、規則が緩すぎるという環境団体の批判があった。

2024年11月の米大統領選でトランプ氏が再選されると、北米の複数の銀行が同盟を脱退し、2025年4月には加盟条件がさらに緩和された。その後も脱退が続き、同盟は2025年10月に解体された。Urgewaldによれば、世界全体の石炭融資は2022年以降、年間ならして横ばいが続いている。欧州連合やタイ、マレーシア、インド、台湾の銀行による減少分が、中国、米国、インドネシア、韓国の銀行の増加で相殺された形だという。

日本にとっての意味

Urgewaldの集計では、COP26以降の日本の石炭ファイナンス(融資・引受)はみずほFG・三菱UFJFG・三井住友FGの3社で8割を占め、「3メガはいずれも大きく減らしていない」とされる。一方、三菱UFJは自社開示で「石炭火力発電所向けプロジェクトファイナンスの貸出金残高」を2019年度末35.8億ドルから2024年度末20.4億ドルへ減らしたとしている。この数字は脱炭素に資する案件を除く狭い指標で、引受を含まない。

対象範囲の取り方次第で「減った」と「減っていない」が同時に成り立つ構図は、NZBAの加盟条件が緩められた経緯と同じ土台にある。金融庁のディスカッション・ペーパーも、一律の検査基準ではなく金融機関との対話のための材料と位置づけられており、目標の実効性は制度の外側、つまり何を数え、誰が期限を動かせるかに委ねられている。