気候・災害

世界の森林破壊、1年で15%減 ブラジル決選投票で巻き戻る恐れ

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2025年の世界の森林破壊面積は前年より15%減り、2021年に各国が森林破壊の終息を約束して以降、初めての本格的な減速となった。ただ研究者は、この成果が脆いものだと警告している。現地の10月25日に迫るブラジルの大統領決選投票の結果に加え、強いエルニーニョの影響も見込まれ、巻き戻る可能性があるためだ。

何が起きたのか

2021年に英国グラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では、145か国が2030年までの森林破壊終息を約束した。その進捗を毎年追う報告書によると、2025年に失われた森林は約700万ヘクタールで、前年比15%減。

減少を主導したのはブラジルだ。ルーラ政権が導入した森林破壊対策計画と取り締まりの強化により、アマゾンでの農地・牧場の拡大が落ち着いた。研究機関クライメート・ポリシー・イニシアチブのブラジル拠点(CPI/PUC-Rio)の法務アナリストは「準リアルタイムの監視と狙いを絞った取り締まりの組み合わせが、2025年8月から2026年7月の間にアマゾンの森林破壊の警報を36%減らすという歴史的な成果に寄与した」と評価している。

一方、コンゴ盆地を抱えるアフリカの熱帯地域では森林破壊が増え続け、初めてラテンアメリカの消失面積に迫った。報告書の発行元はこの傾向を「特に不気味」だと表現している。研究者らは、世界全体では2030年目標の達成に向けた軌道から70%外れていると指摘し、2025年の改善は「新しい流れではなく例外」とみる。

背景

ブラジルでは現地の10月25日、現職のルーラ氏と、環境規制の緩和を主張する前大統領ジャイル・ボルソナロ氏の息子フラビオ・ボルソナロ氏が決選投票で対決する。第1回投票ではボルソナロ氏が47%、ルーラ氏が45%を獲得した。

ルーラ氏は2023年に復帰した後、父ボルソナロ政権下で取り締まりが後退し森林破壊が急増した状況の立て直しを進めてきた。フラビオ・ボルソナロ氏は気候変動を信じないと述べ、上院議員として2025年には環境許認可の規制を緩める法案に賛成した。環境団体は、同氏が当選すれば父親と同様に森林保護の仕組みが弱まりかねないと懸念している。

前出の法務アナリストによると、ブラジルの環境政策には州や地方レベルで実施される部分も多く、連邦政府の方針が変わっても一定の継続性は見込める。ただ連邦政府の優先順位が変われば、連邦の機関や予算には大きな影響が及びうるという。

日本にとっての意味

森林破壊を衛星で見つける仕組みの一部は、日本も担っている。JICAとJAXAが2016年11月に始めたJJ-FASTは、ALOS-2のLバンド合成開口レーダーで熱帯の森林減少を検出し、ウェブで無料公開する。ブラジル向けの地図は個別に更新されており、2026年7月にも最新の観測計画が反映されている一方、ブラジル以外の国の地図はコンゴ盆地の国々を含め「2024年3月までの過去データ」のままだ。衛星が異常を見つけても、それを取り締まりに変えるのは生産国政府の役割であり、日本の仕組みは監視までで止まる。

2030年の約束を掲げた「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」には、日本も参加している。報告書が示す「目標から70%外れている」との評価は、日本も加わった約束の進み具合そのものでもある。