米ノースカロライナ州でウエストナイル熱、高齢者2人死亡
米ノースカロライナ州で、基礎疾患のある高齢者2人がウエストナイルウイルスの感染で死亡したと州保健当局が発表した。2人は州中部の住民で、当局は死亡の詳細を明らかにしていない。この蚊媒介のウイルスにはワクチンも治療法もない。
何が起きたのか
感染症専門ニュースサイトCIDRAPによると、死亡した2人はノースカロライナ州中部に住む基礎疾患のある高齢者で、州の保健福祉当局が発表した。死亡の経緯や発症時期など、これ以上の詳細は公表されていない。
CIDRAPはあわせて、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の報告として、EUが過去最も深刻なウエストナイル熱の流行期を迎えており、ウイルスがこれまで流行のなかった北側の地域にまで広がっていると伝えている。
背景
ウエストナイル熱は、原因ウイルスが鳥と蚊の間で維持されている感染症で、人は蚊に刺されてたまたま感染する「終末宿主」にあたる。感染しても大半は症状が出ず、重症化して死亡に至る例は主に高齢者や基礎疾患のある人に集中する。
ワクチンがなく、打てる手段が蚊対策しかないという構図は、今回のノースカロライナ州の死亡例でも変わらない。EUで流行域が北へ広がっているという報告も、気温上昇で媒介蚊の活動域が変化していることと関係しているとみられる。
日本にとっての意味
日本は2026年6月の特定感染症予防指針の改正で、気候変動に伴う蚊の生息域拡大を踏まえた蚊媒介感染症対策を強化したが、ウエストナイル熱の位置づけは米欧とは異なる。指針は前文で、発症者の血中ウイルス量が少なく「媒介蚊のみを介した人から人への感染環が成立しない」ため、デング熱・ジカウイルス感染症・チクングニア熱に比べて輸入症例を起点に国内感染が起きる可能性は低いとし、ウエストナイル熱については共通する取組を「必要に応じて」講じる群に置いている。厚生労働省の解説では、感染者の約8割は症状が出ない不顕性感染で、重篤な症状を示すのは約1%、重症患者の致死率は3〜15%とされる。
一方、日本赤十字社はSARSとウエストナイルウイルスを扱った2003年の資料で、帰国後3週間以内の採血を見合わせる対策を実施したと記しており、現在は帰国後4週間の献血制限が続いている。欧州滞在歴による制限は2026年10月1日に撤廃されたが、この4週間の制限は、2026年4月の方針が示した「海外で何らかの感染性疾患に罹患したまま帰国(入国)する可能性」を理由に残されている。