気候・災害

ボルネオのオランウータン保護施設、山火事が目前に迫る

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インドネシア・ボルネオ島西部で現地時間7月22日に発生した山火事が、絶滅危惧種ボルネオオランウータンの保護施設のすぐそばまで迫った。約100人態勢の消火活動で延焼は食い止められ、施設で保護されている60頭以上のオランウータンは無事だったが、関係者は今後の乾季でさらに火災が激しくなると警戒している。

何が起きたのか

火災は西カリマンタン州ケタパン県のスンガイ・アワン・キリ村で、非営利団体YIARIが運営するオランウータンリハビリテーションセンターから約1キロの地点で発生した。センターでは、違法な野生動物取引や生息地の破壊から救出された60頭以上のボルネオオランウータンが保護・訓練を受けている。政府機関、軍、警察、YIARIの職員ら約100人が濃い煙の中で長時間の消火活動にあたり、火はセンターの敷地境界で食い止められた。YIARIの最高経営責任者カルメレ・ジャノ・サンチェス氏は「もし対応が遅れていたら、リハビリテーションセンターの一部は火災で失われていただろう」と述べている。

この地域では火災の影響がすでに野生のオランウータンにも及んでいる。7月には、ケタパン県内の別の場所で拡大する火災の近くの農地から、雄のオランウータン1頭が救出され、救出にあたったチームによって「ワク」と名付けられた。この個体はクアラ・トラック村の果樹園に迷い込んでいたところを保護されたという。同村やその周辺では、2015年と2019年の大規模な火災の際にも複数のオランウータンが救出されている。YIARIなどが管理する生息地回復事業地でも、今年3月に近隣の土地開拓に関連する火災が延焼していた。

背景

インドネシアでは例年、乾季にあたる7月から10月ごろにかけて、農地やプランテーション用に森林を焼き払う「焼畑」に近い土地開拓の慣行が原因となり、山火事が多発するとされる。今年はエルニーニョ現象が強まっているとみられ、降雨が減って乾燥が進むことで、こうした火が制御できずに広がりやすくなっているという指摘がある。2015年にはインドネシア全土で大規模な森林火災が発生し、東南アジア一帯に深刻な煙害(ヘイズ)をもたらしたとされる。YIARIは今回の火災シーズンについても2015年級の危機になりかねないと事前に懸念を示していた。

ボルネオオランウータンは、こうした森林伐採や土地開拓によって生息地を追われ、農地や人里近くに姿を現すケースが増えているとされる。これは食料を失った個体が生き延びるために移動しているためとみられ、人間の生活圏との接触が増えることで、地域住民との軋轢が生じる一因にもなっているという。ケタパン県の消防当局は、住民に対して野焼きを控え、火災の兆候があれば早期に通報するよう呼びかけている。

日本にとっての意味

ボルネオの熱帯雨林は、地球上でも生物多様性が特に高い地域の一つとされ、ボルネオオランウータンは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで最も絶滅の危険度が高い区分に分類される種とされる。今回のような火災が繰り返されれば、長年かけて積み上げてきた保護・生息地回復の取り組みが一度に損なわれかねない。