気候・災害

アマゾン森林減少、13年ぶり低水準に ルラ政権下で減少続く

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ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の衛星データによると、アマゾン熱帯雨林の森林減少面積が2013年以来、13年ぶりの低水準にとどまったことがわかった。ルラ・ダシルバ大統領が2023年に返り咲いて以降、森林破壊は減少傾向が続いており、今回の結果はその流れをさらに裏付ける内容となった。

何が起きたのか

INPEの早期警戒システム「DETER」は、2025年8月から2026年7月までの1年間で2874平方キロメートルの森林減少を検知した。これは前年同期比で36%減、過去10年間の平均と比べると55.6%も少ない水準だという。現行のDETERシステムが導入された2015年以降で最少であるだけでなく、前身のシステムのデータまでさかのぼっても、これより少なかったのは2012〜13年(2766平方キロメートル)だった。

DETERは伐採の兆候を素早く検知し、当局の摘発につなげるための速報システムで、ブラジルの公式な森林減少率として使われる、より高精度な年次システム「PRODES」とは別物だ。PRODESの速報値は10〜11月に公表される見通しで、今回のDETERの結果ほど大きな減少が確認されれば、1988年に統計が始まって以来、最も低い年間森林減少率になる可能性があるという。実際、2025年7月までの1年間を対象にしたPRODESのデータでは、すでに11年ぶりの低水準を記録していた。ブラジルの環境NGOイマゾン(Imazon)が独自の衛星システムで行っている観測でも、同様に減少傾向が確認されているという。

森林減少が落ち着いているのはアマゾンだけではない。ブラジル特有の広大なサバンナ地帯セラードでは、DETERが5119平方キロメートルの警戒情報を検知したが、これは前年比7.8%減で過去5年で最少だった。INPEがあわせて公表した2024年8月〜2025年7月のPRODES確定値では、カーチンガ(乾燥地帯)が34.3%、大西洋岸森林が15.3%、パンパ(草原地帯)が41.7%それぞれ減少した。INPEの担当者は、創立65周年の節目にあたる今回の発表について、衛星による環境監視で技術的な自立を保ち、国際的な参照点であり続けていることを示すものだと述べた。

ただし、今回の数字がアマゾンの森林が完全に守られていることを意味するわけではない。木材の違法伐採や干ばつ、森林の縁辺部が受けるダメージ、下層植生の火災などは、はっきりとした「皆伐」としては統計に現れにくいが、炭素の貯蔵能力や生物多様性を損ない、将来の干ばつや火災に対する森林の脆弱性を高める要因になるとみられている。2023〜24年にかけての深刻な干ばつでは、伐採面積自体は減っていても、火災や生態系への被害はむしろ拡大したことがあったという。

背景

ブラジルでは、アマゾンの森林減少は政権によって大きく増減してきた経緯がある。ルラ氏は2023年の大統領就任後、取り締まりの強化や監視体制の拡充、先住民保護区の保全強化、森林破壊が集中する自治体との協定づくりなど、環境政策を前政権から大きく転換させたとされる。ブラジル政府は2030年までに違法な森林減少をゼロにするという目標を掲げており、今回の数字はその達成可能性を占う材料としても注目されている。

アマゾンの森林減少は、大豆や牛肉などを生産する農地開拓のための伐採が主な要因とされてきた。国際的な環境団体や消費国からの圧力、企業のサプライチェーン管理強化なども、近年の減少傾向を後押ししてきたとみられる。一方で、森林そのものが受ける火災や乾燥によるダメージは、伐採面積の統計だけでは捉えきれず、今後も注視が必要な分野として指摘されている。

日本にとっての意味

ブラジルは日本にとって大豆やとうもろこし、牛肉、鶏肉、木材などの輸入先として重要な国の一つだ。これらの農産物や畜産物の生産拡大が、アマゾンやセラードの森林・草原の減少と結びついてきたという指摘は以前からあり、日本の食卓や企業の調達活動も無関係ではない。近年、大手商社や食品メーカーが「森林破壊ゼロ」を掲げた調達方針を打ち出す動きが広がっているのも、こうした国際的な問題意識を背景にしている。

また、ブラジルは温室効果ガスの排出削減や生物多様性の保全をめぐる国際交渉でも存在感の大きい国であり、アマゾンの森林減少率は同国の気候変動対策の実績を測る象徴的な指標として扱われてきた。今回のような減少傾向が今後も続けば、ブラジルが国際交渉の場でより強い発言力を持つ可能性があり、日本を含む各国の気候政策や貿易上の駆け引きにも影響しうる。森林減少のニュースは遠い国の環境問題にとどまらず、輸入食品の調達構造や国際交渉の力学を通じて、日本の暮らしや企業活動にもつながっている。