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エルドアン氏、トルコ・サウジ・パキスタン防衛協定を域内全体に拡大する構想語る

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トルコのエルドアン大統領は現地時間の8月12日、アラビア語紙アシャルク・アルアウサトとのインタビューで、トルコ・サウジアラビア・パキスタンの3カ国が結んだ「メッカ共同防衛協定(Mecca Joint Defense Agreement)」について、対象を3カ国にとどめず、将来的には中東地域の国々を広く取り込みたいとの構想を語った。エルドアン氏は「我々の一人の安全は、我々全員の安全だ」と述べ、この枠組みを地域全体の安定につなげたい考えを示した。

何が起きたのか

エルドアン大統領は、この協定を「集団的抑止(collective deterrence、加盟国のいずれかへの脅威を全体への脅威とみなすことで攻撃を思いとどまらせる考え方)」の原則に基づくものだと説明した。参加国の一国への安全保障上の脅威は、他の参加国にとっても共通の懸念事項として扱われるとしており、防衛産業での協力やテロ対策の強化にもつなげたいとしている。同時に、この協定は特定の国を敵視するものではなく、「平和と繁栄と安定を求めるすべての友好国」に開かれていると強調した。

米国とイランの間の緊張が地域情勢に影響していることは認めつつ、エルドアン氏はこの協定を米イラン対立への単なる対応として理解するのは誤りだと述べた。むしろ、地域の問題は域外の処方箋ではなく、地域の国々自身の意思と英知で解決すべきだという考えが背景にあると説明した。協定は「新たな地域情勢」と、当事国間で共有された責任感の結果だとも語っている。

背景

この協定を巡っては、トルコが北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありながら、非加盟で核兵器を保有するパキスタン、そして米国の伝統的な同盟国であるサウジアラビアと新たな安全保障の枠組みを別途構築したという構図が注目されている。パキスタンが核保有国であることから、一部の分析ではこの協定が核抑止の要素を実質的に含みうるのではないかとの見方も出ているが、資料で示された発言そのものは核兵器の役割に触れておらず、あくまで観測にとどまる。

サウジアラビアの安全保障は長年、米国など域外の大国による関与に支えられてきたとされる。エルドアン氏が「域外から押し付けられた処方箋がこの地域にどのような惨事をもたらしてきたかを、我々は知っている」と語った背景には、こうした外部依存への問題意識があるとみられる。またサウジアラビアとパキスタンは以前から緊密な安全保障関係を築いてきたとされており、今回の協定はその延長線上に位置づけられる面もありそうだ。トルコにとっても、中東での外交的な存在感を高める狙いがある可能性がある。

日本にとっての意味

中東の安全保障秩序がどう変化するかは、直接の当事国でない日本にとっても軽視できないテーマだ。日本は輸入する原油の大半を中東地域に依存しており、ペルシャ湾からの海上輸送路の安定は日本のエネルギー安全保障と切り離せない。これまでこの地域の安定は、米国をはじめとする域外の大国の関与によって支えられてきた面が大きいとされるが、エルドアン氏が繰り返し強調した、地域の問題は地域の当事者が解決すべきだという発想は、こうした従来の構図とは異なる方向性を示すものだ。域内の安全保障の担い手が変化すれば、日本が前提としてきたエネルギー供給の安定条件も見直しを迫られる可能性がある。

またトルコとパキスタンはいずれも防衛産業の輸出国としての存在感を強めており、両国が関わる防衛協力の枠組みが拡大すれば、中東・南アジアの兵器調達や軍事バランスにも影響しうる。日本は単一の同盟関係を安全保障の基軸としてきた国であり、複数国が対等な立場で集団的な抑止を組む今回のような枠組みはなじみが薄い。だからこそ、こうした動きがどのように展開するかを早い段階から把握しておくことには意味があるといえる。