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ホルムズ海峡、米イラン対立で封鎖継続 船舶が被弾し死傷者

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イランとオマーン沖のホルムズ海峡で、通航中の船舶が正体不明の飛翔体に被弾し、機関室が損傷して乗組員1人が死傷した。英国海事貿易活動機関(UKMTO)が現地時間18日に発表した。イラン国会議長で対米交渉の中心人物であるモハンマド・バゲル・ガリバフ氏は、同日、米国が要求に応じるまで海峡の封鎖を解かない考えを改めて示した。

何が起きたのか

UKMTOによると、運航会社の警備部門からの報告として、オマーン沖を航行中の船が正体不明の飛翔体で攻撃され、機関室が損傷、乗組員1人が死傷した。船名や積み荷、死者か負傷者かの詳細は明らかにされていない。オマーン沿岸警備隊が他の乗組員の支援にあたり、当局が調査を進めているという。

数時間後、ガリバフ氏は、米国が合意に基づく義務、すなわち海上封鎖の解除、凍結資産の返還、石油制裁の解除、あらゆる戦線での威嚇と軍事作戦の停止などを果たすまで「ホルムズ海峡は再開しない」と述べた。イランは現地時間2月28日にイスラエルと米国から攻撃を受けて以降、事実上ホルムズ海峡を封鎖しており、現在は米国側もイランの船舶往来を阻止する形になっている。米国とイランの交渉は停滞する一方、イランはオマーンと別途、海峡を通る船舶の管理方法について協議を進め、現地時間17日には共同声明の詰めの段階にあるとしていた。

トランプ米大統領はこれに反発し、Foxニュースの記者との電話取材で、オマーンが妨げになるなら爆撃すると語ったと報じられている。エジプトのアブドラアティ外相とオマーンのブサイディ外相の会談後、エジプト外務省は、イランとオマーンの合意が米国とイランの交渉再開への道を開き得るとの声明を出したが、トランプ氏のオマーンへの脅しには触れなかった。トルコのエルドアン大統領はトランプ氏との電話会談で、外交による解決を追求するよう求めた。米国とイランの60日間の交渉期限は延長の発表がないまま切れつつあり、両者の立場の隔たりは交渉開始時とほぼ変わっていないとみられる。

背景

ホルムズ海峡はイランとアラビア半島の間にある海峡で、世界で取引される原油のおよそ5分の1がここを通過していたとされる。戦争前まで、中東産油国の原油やLNG(液化天然ガス)の大半はこの海峡を経由してアジアや欧州に運ばれていた。イランはこの地理的な位置を交渉のてこにしてきた経緯があり、過去にも封鎖の可能性を示唆して欧米に圧力をかけてきたことで知られる。

今回の対立は、現地時間2月28日のイスラエルと米国によるイラン攻撃を発端に、イランが海峡を事実上封鎖したことで始まった。以後5か月以上にわたり、米国側もイラン船舶の航行を阻む形の海上封鎖を続けており、双方が互いを封鎖し合う膠着状態が続いている。イランは米国との直接交渉が行き詰まる中、隣国オマーンとの間で船舶の通航管理に関する枠組み作りを進め、事態打開の糸口を探ってきた。しかし今回、正体不明の飛翔体による船舶被弾という新たな出来事が起き、海峡情勢の緊張がなお高い水準にあることを示した。トランプ氏がオマーンへの軍事行動さえ示唆したと伝えられている点は、交渉の仲介役であるはずの国にまで威嚇が及びかねない状況を映している。トルコが米国とイラン双方に外交的解決を働きかけている背景には、トルコがイランと国境を接するNATO加盟国であり、地域の不安定化が自国にも波及しかねないとの懸念があるとみられる。

日本にとっての意味

日本が輸入する原油の大半は中東地域からのものとされ、その多くがホルムズ海峡を経由して運ばれている。海峡の封鎖が長期化し、さらに正体不明の飛翔体による船舶攻撃という物理的な危険まで加わっている状況は、日本のエネルギー供給の安定にとって看過できない要素である。原油やLNGの調達価格や輸送保険料の上昇、あるいは航路変更による輸送日数の増加は、いずれ国内のガソリン価格や電力・ガス料金に跳ね返る可能性がある。

日本のメディアでは、開戦当初の衝突や停戦交渉の動きは報じられても、封鎖が現在も続き、しかも船舶が実際に被弾して死傷者まで出ているという続報は十分には伝えられていないとみられる。だが日本のタンカーや邦人が乗り組む船舶も同じ海域を航行しているとみられ、直接の被害を受ける可能性はゼロではない。日本政府がこれまで独自の護衛や情報収集の枠組みをどこまで維持しているかは判然としないが、中東の緊張が「一時的な危機」ではなく数か月単位で続く構造的な問題になっている以上、エネルギー調達先の分散や備蓄の状況を含め、日本側の備えがどうなっているのかを注視する価値がある。