「スーパーエルニーニョ」観測史上最強の見通し、世界の天候に影響
太平洋の熱帯域で海水温が上がる「エルニーニョ」現象が2026年6月に始まり、観測史上最も強くなるとみられている。これを「スーパーエルニーニョ(super El Niño)」と呼ぶ向きが多く、2027年にかけて続く見通しだ。海から放出される熱が世界の気温や降雨のパターンを変え、多くの人々の暮らしに影響するとされる。
何が起きたのか
英気候メディアのCarbon Briefによると、今回のエルニーニョは2026年6月に始まった。エルニーニョは太平洋の熱帯域で海水温が平年より高くなり、海に蓄えられた熱が大気に放出される現象で、これが一時的に世界全体の気温を押し上げ、各地の降雨パターンや異常気象を変化させる。今回の事象は観測史上最も強くなると見込まれており、「スーパーエルニーニョ」と呼ばれるゆえんだ。2027年にかけて続くとみられている。
背景
エルニーニョは、太平洋の海水温と大気の状態が数年おきに変動する「エルニーニョ・南方振動(ENSO)」と呼ばれる周期的な気候パターンの一部だ。ENSOには海水温が上がる「エルニーニョ」、下がる「ラニーニャ」、どちらでもない「平常」の3つの状態があり、エルニーニョとラニーニャはそれぞれおおむね9カ月から1年ほど続くが、それより長引くこともあるとされる。
エルニーニョが起きると、太平洋の熱帯域に蓄えられていた熱が大気に放出されるため、地球全体の平均気温が一時的に押し上げられる傾向があるとされる。これは、人間活動による温室効果ガスの排出が引き起こす長期的な地球温暖化とは別の、自然に繰り返される周期変動である点に注意が必要だ。両者が重なると、その年の気温がとりわけ高くなりやすいという指摘がある。過去にも強いエルニーニョが起きた年があったとされるが、今回はそれらを上回る強さになる見通しだという。
観測史上最も強くなるという見方は、あくまで現時点での予測であり、確定した観測結果ではない。
日本にとっての意味
今回の資料は日本への影響にも触れている。エルニーニョの年には台風の発生位置が東にずれるため、フィリピンに向かう台風は減り、代わりに中国・日本・韓国に影響しやすくなるという。上陸までの移動距離が長くなるぶん、熱と水分を蓄える時間が延び、強い勢力に発達しやすくなると指摘されている。一般に、エルニーニョの年は日本付近の気圧配置や海流に影響が及び、冬の気温や梅雨の時期、台風の発生・進路の傾向が平年と異なりやすいとされる。ただし、これは一般的な傾向であり、今回の事象が今年の冬や来年の梅雨に具体的にどう影響するかは、今回の資料からは分からない。
より直接的な接点として意識しておきたいのは、食料や水産物を通じた影響だ。日本は多くの食料・飼料を海外からの輸入に頼っており、エルニーニョによって主要な生産地域で干ばつや豪雨などの異常気象が起きれば、農作物の収穫や漁獲に影響が出て、時間差を伴いながら国内の食品価格に波及する可能性があるという指摘がある。今回のエルニーニョが観測史上最強とされる規模であるならば、こうした波及も例年以上に大きくなりうるか、今後の推移を注視する価値がある。