FDA、新型コロナワクチンを承認 対象を65歳以上と基礎疾患のある人に限定
米食品医薬品局(FDA)は、モデルナ、ファイザー・ビオンテック、ノババックス・サノフィの新型コロナワクチンを承認した。いずれも現在主流の「JN.1系統XFG」というウイルス株による重症化を防ぐことを目的とした製剤で、承認対象は65歳以上の成人と、重症化リスクを高める基礎疾患を持つ若い世代に限られる。
何が起きたのか
各社は現地時間8月27日、FDAが更新版のコロナワクチンを承認したと発表した。ファイザーのmRNAワクチン「コミナティXFG」は65歳以上と、5〜64歳で基礎疾患のある人が対象。モデルナのmRNAワクチン「スパイクバックス」は65歳以上と、生後6カ月から64歳までの基礎疾患のある人に承認された。同社が新たに投入する低用量ワクチン「mNEXSPIKE」は65歳以上と、基礎疾患を持つ12〜64歳が対象となる。mRNA技術を使わないノババックス由来のワクチン「ヌバキソビッド」(サノフィが承認取得)は、65歳以上と、重症化リスクの高い12〜64歳が対象だ。米疾病対策センター(CDC)によると、喘息、がん、慢性の肺や腎臓の病気、精神疾患、肥満、妊娠、喫煙などが重症化リスクを高める要因とされる。ファイザーは既に医薬品の出荷を始めており、まもなく薬局に届くとしている。CDCによれば、コロナの感染者数は48州で「増加中、またはその可能性が高い」状況にあるという。なお、保険会社の業界団体AHIPは、CDCの諮問委員会が推奨するワクチンについて、加盟各社が少なくとも2027年末まで全額を保険でカバーすると表明している。
背景
米国では新型コロナワクチンについて、これまで生後6カ月以上のほぼ全ての人に接種を推奨してきたが、近年は対象を絞り込む方向へ転換が進んできたとされる。今回の承認は、高齢者や基礎疾患のある人など重症化リスクの高い層に絞って予防効果を得るという考え方に基づくものとみられる。一方で、健康な若年層や子どもへの接種をどう位置づけるかは、FDAの承認範囲だけでなく、CDCの諮問委員会が示す接種推奨の判断にも左右される。ワクチンの型は毎年、その時点で流行している変異株に合わせて更新されており、今回はJN.1系統から派生したXFGという変異株に対応した設計になっている。ウイルスの変異に応じて対象株を切り替える点は、インフルエンザワクチンの毎年の更新とも似た仕組みといえる。
日本にとっての意味
日本でも新型コロナワクチンの秋接種は、65歳以上と、60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器などの機能に重い障害がある人を対象とした「定期接種」(公費負担がある制度)と、それ以外の人が希望すれば受けられる「任意接種」(原則自己負担)に分かれている。今回の米国での承認対象は、日本の定期接種の対象区分と重なる考え方であり、重症化リスクの高い人に接種の重点を置くという方向性が日米で共通しているようにみえる。日本で使われるワクチンも海外の製薬大手から供給されており、米国での承認内容や対象年齢の設定は、日本国内でどの製剤をどの世代に推奨するかという議論の参考になり得る。また、保険適用の範囲や公費負担の是非をめぐる米国内の議論は、日本における接種費用の負担のあり方を考える上でも参照点になりそうだ。今後、日本の厚生労働省がどのような接種方針を示すかを見る際には、こうした米国の動きが一つの手がかりになるだろう。