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世界の海洋、100日連続で記録的高温 エルニーニョ重なる

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世界の海洋表面水温が、現地時間の6月2日から9月10日までの100日間にわたり連続で観測史上最高を記録した。米メイン大学の付属機関が運営するデータ集計「Climate Reanalyzer」で明らかになった。専門家はこの記録的な高温を気候変動によるものとみており、足元で強まりつつあるエルニーニョ現象がそれを増幅していると指摘する。

何が起きたのか

米メイン大学気候変動研究所(Climate Change Institute)が運営するデータプラットフォームClimate Reanalyzerによると、極地を除く世界の海洋表面水温は、現地時間の6月2日から9月10日までの100日間、毎日それぞれの日付における1982年以降の観測記録を上回った。米海洋大気庁(NOAA)が集めた観測データを基にしている。

EUのコペルニクス気候変動サービス(Copernicus Climate Change Service)によると、現地時間8月22日には世界の海洋表面水温の平均が摂氏21.10度に達した。Climate Reanalyzerの集計では、現地時間8月22日から27日にかけてさらに上昇し、平均21.18度を記録したという。

気候変動の科学を伝える米国の非営利団体クライメート・セントラル(Climate Central)のザカリー・レイブ氏は、現地時間9月10日の記者会見で、この記録的な海洋高温は人為的な気候変動が引き起こす長期トレンドの一部だと説明した。レイブ氏は「この記録的な高温をもたらしているのは気候変動だ」と述べ、化石燃料の燃焼や温室効果ガス排出で生じた余分な熱の9割以上が海洋に吸収されていると付け加えた。

学術誌Advances in Atmospheric Scienceに掲載された分析によると、2025年に海洋が吸収した熱量は23ゼタジュールに達し、原爆が毎秒約12発、海中で炸裂するのに相当するエネルギー量だった。これは2024年の16ゼタジュールから43%以上の増加だという。水深200メートルより深い層でも温暖化が進んでいるとレイブ氏は指摘した。

背景

海面水温の記録更新自体は近年珍しくないが、今回は100日連続という期間の長さが特徴だ。専門家は、地球温暖化による海洋の長期的な蓄熱が主因で、2026年6月に始まったエルニーニョ現象がそれを増幅していると分析する。

エルニーニョは、太平洋の貿易風が弱まり南米沖に暖かい海水がたまることで世界全体の気温を押し上げる自然現象で、数年おきに発生するエルニーニョ・南方振動(ENSO)の一局面だ。NOAAは今回のエルニーニョが非常に強い水準になると予測しており、2026年末にかけてピークを迎え、2027年まで影響が続く見通しだという。

海洋は人間活動が排出した熱の大半を吸収してきたため、大気の温暖化を和らげる緩衝材の役割も果たしてきた。しかしその分、海の中に膨大な熱がたまり続けており、専門家はこれが漁業資源の分布やサンゴ礁の健康、台風の強さにまで波及していると指摘する。

アイルランドのメイヌース大学ICARUS気候研究センターのクレア・バーギン氏は、異常気象と気候変動の関係を分析する研究者グループ、ワールド・ウェザー・アトリビューション(World Weather Attribution)にも参加している。同氏は「海水温の上昇と陸上熱波の強さには直接的な関係がある」と述べ、高い海水温が2026年夏の欧州、特に沿岸部の熱波を強めた一因になったとの見方を示した。海水温の上昇は、発汗による体温調節の限界を示す指標である湿球温度の上昇にもつながり、人間の健康リスクを高めていると説明した。

日本にとっての意味

海洋の蓄熱は、日本近海の気象にも直接関わる問題だ。海水温が高いほど台風は発達しやすくなり、上陸時の勢力や急速な強まり方に影響するとされる。太平洋規模の高温とエルニーニョの重なりは、今後日本に接近する台風の経路や強さ、夏場の猛暑や集中豪雨のリスクにも波及しうる要素として注視する価値がある。

漁業への影響も見過ごせない。海水温の変化は魚の生息域や回遊ルートを動かす。サンマやスルメイカなど日本近海の漁獲量の変動要因として近年たびたび指摘されてきたのも、構造的には同じ現象だ。

今回のデータが示すのは、こうした変化が一時的な異常ではなく、気候変動とエルニーニョが重なった際に起こりうる長期的なパターンの一部かもしれないという点だ。エルニーニョが2026年末にピークを迎え2027年まで続くと予測されている以上、来シーズン以降の台風や猛暑のリスクを考えるうえでの手がかりとして、今回の記録は押さえておきたい。