気候・災害

COP31共催のトルコとオーストラリア、化石燃料拡大に矛盾

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2026年11月にトルコ南部のアンタルヤでCOP31を共催するトルコとオーストラリアが、国内では化石燃料の生産・利用の拡大を続けていることが、専門家の分析で明らかになった。両国とも自国の化石燃料をいつまでに終わらせるかという期限を示しておらず、気候交渉を主導する立場との矛盾が指摘されている。

何が起きたのか

COP31はトルコが議長国を務め、2026年11月にアンタルヤで開催される予定だ。交渉の議事進行はオーストラリアが担う。世界各国が化石燃料からの転換をどう進めるかをめぐる難航する協議が続く中で、両国は共催国となっている。

各国の気候対策を分析する国際的な研究プロジェクト、Climate Action Tracker(CAT)が現地時間の2026年9月18日に公表した分析によると、トルコでは風力・太陽光による発電の割合が2020年の12%から2025年には22%まで増えた。しかし電力に占める石炭とガスの割合は2025年時点で56%と、2019年からほとんど変わっていない。電力部門の化石燃料消費と、それに伴う排出量はむしろ増え続けている。トルコ政府は黒海での国内ガス生産の拡大計画も進めている。

一方オーストラリアは、電力の6割以上を化石燃料に依存し、石炭だけで45%を占めているという。専門家によると、同国には化石燃料から脱却する野心的な計画がなく、気候目標の達成はカーボンオフセット(carbon offset)に大きく頼っている。オーストラリアは世界第3位の化石燃料輸出国で、政府の補助金に支えられた石炭・ガスの増産計画も抱える。クイーンズランド州の露天掘り炭鉱、サラジ炭鉱の拡張をこのほど承認し、気候変動対策団体の反発を招いた。

米タフツ大学フレッチャースクールの上級研究員で、かつてドイツの気候変動担当特使を務めたジェニファー・モーガン氏は、両国はエネルギー転換への本気度を自国内での行動でも示す必要があると述べた。両国とも再生可能エネルギーでは前進しているとしたうえで、「その信頼性、そしてCOPに勢いと良い成果をもたらす能力は、自国内でさらなる行動を取るかにかかっている」と語った。

背景

国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP)は、毎年各国が温室効果ガス削減の方針をすり合わせる場で、議長国や共催国は交渉をまとめる立場にあると同時に、自国の政策でも手本を示すことが期待されてきた。石炭・石油・ガスからの脱却をどう進めるかは各国の利害が絡む論点で、今年のアンタルヤ会合でも協議が続く見通しだ。

トルコは今回のCOPで、各国間の交渉対象ではなく議長国が主導して取り組みを募る枠組みの柱として、2035年までに世界のエネルギー利用に占める電気の割合を35%に高める目標を掲げている。COP31の議長に指名されたムラト・クルム氏は、電気自動車やヒートポンプの普及で電化を進めれば、化石燃料の利用は自然と減っていく、という趣旨の発言をしている。

ただしCATの分析では、トルコ自身のエネルギー計画上の2035年の電化率見通しは25%にとどまり、自ら掲げる目標に届かない。CATは、化石燃料を計画的に減らす仕組みが並行して整わなければ、増える電力需要が石炭やガスで賄われ、電化目標が本来期待する排出削減効果が失われかねないと警告している。電化を進めること自体は排出削減の万能策ではなく、発電をどう脱炭素化するかとセットで考える必要がある、という指摘だ。トルコは、交渉の議事進行をオーストラリアが担う一方で、会合の最終的な決定権は議長国である自国にあるとの立場も示している。

日本にとっての意味

日本はLNGと石炭の相当部分をオーストラリアから輸入しており、同国のエネルギー政策の先行きは日本の資源調達に関わりうる。オーストラリアが化石燃料からの撤退期限を示さないまま輸出向けの石炭・ガス増産を進める姿勢は、当面の供給確保という点では日本にとって都合が良い面がある一方、世界の脱炭素の流れが強まった際に、調達先が急な政策転換を迫られる可能性も示唆する。

オーストラリアが気候目標の達成をカーボンオフセットに大きく依存している点も見過ごせない。日本も二国間クレジット制度(JCM、他国での削減分を自国の削減実績として計上する仕組み)を通じて他国の削減分を活用しており、オフセットの信頼性をめぐる国際的な議論は日本の制度運用にも波及しうる。

トルコが掲げる電化目標や、それに伴う電気自動車・ヒートポンプ普及の議論は、日本国内でのEVシフトや家庭の脱炭素化政策とも通じるテーマだ。COP31での議論の行方は、日本の産業界や政策立案者にとっても、電化と再生可能エネルギー拡大をどう組み合わせて進めるかを考える材料になる。