気候・災害

COP31運営、トルコ「最終決定権は議長国に」豪と食い違い

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2026年にトルコのリゾート地アンタルヤで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP、COP31)の運営をめぐり、開催国トルコと交渉役を担うオーストラリアの間で説明のずれが表面化した。トルコのクルム環境相が現地時間の9月10日、北部のトラブゾンで記者団に対し、両国は協力しているとしつつも最終的な決定権はトルコ側にあると述べたためだ。オーストラリア側は両国が一つの目標に向けて切れ目なく協力していると説明しており、正式な取り決め文書の解釈にも曖昧さが残る。

何が起きたのか

2025年にブラジルで開かれたCOP30で、COP31の開催地をめぐり対立していたトルコとオーストラリアは、トルコがアンタルヤで開催し、クルム氏がCOP31の議長を務める一方、オーストラリアのボーエン氏が交渉議長(President of Negotiations、正式な交渉部分を仕切る役職)を務めるという分担で合意した。この見返りに、オーストラリアは開催国としての立候補を取り下げた形になる。当時ボーエン氏は、自身の役割には交渉文書の草案作成や、会議全体の結論をまとめる総括文書の取りまとめまで含まれると説明していた。

ところが今回、クルム氏は、両国は共同議長ではなくトルコがCOP31の議長、オーストラリアが交渉議長だとしたうえで、「両国は協議しているが、最終的な決定はCOP31議長国にある」と述べた。両国の役割分担を定めた公式文書には、オーストラリア側の代表者に「交渉に関して専属的な権限」を委ねると記されている一方で、両国の見解が割れた場合は「双方が納得するまで協議する」としか書かれていない。つまり、意見が対立した場合の最終的な決着方法は文書上も明確ではない。

クルム氏は、トラブゾンで開かれた海洋会議の場で、トルコが主導するアクション・アジェンダ(Action Agenda、正式な交渉とは別に企業や自治体、市民が気候対策を持ち寄る枠組み)には化石燃料からの移行を明示する項目はないものの、その旗印である経済の電化(ヒートポンプや電気自動車の普及)が結果として化石燃料の使用削減につながると説明した。

背景

開催国と議長国が異なるCOPはこれまでにもあった。COP23はフィジーが議長国だったが、遠隔地で規模が小さいためドイツで開催され、COP25はチリで社会不安が広がったためスペインで開かれた。しかし、議長職の権限そのものを2か国で分割する形は、COP31が初めてとみられる。トルコとオーストラリアはCOP30まで開催地をめぐり長く争っており、今回の分担案はその対立を収める妥協として生まれた経緯がある。

COPの議長国は交渉の草案作成や会議全体の結論を示す総括文書の取りまとめなど、会議の方向性を左右する大きな権限を持つとされる。今回のように権限の所在があいまいなまま本会議に入れば、会期中に意見の対立が生じた際にどちらの判断が優先されるのか、参加国にも見えにくくなる可能性がある。クルム氏自身も「トルコとオーストラリアが合意できないことを、196か国が合意できると期待するのは現実的ではない」と述べている。

日本にとっての意味

COP31で誰が実質的な主導権を握るかは、会期の終わりに採択される総括文書がどこに重点を置くかに影響しうる。今回トルコが掲げる電化の推進は、ヒートポンプや電気自動車といった日本メーカーが強みを持つ分野と重なる。総括文書がこうした電化・再生可能エネルギー推進を強く打ち出すのか、化石燃料からの移行そのものを明記する方向に傾くのかによって、火力発電の比率が依然高い日本のエネルギー政策に向けられる国際的な圧力の質も変わってくる可能性がある。

また、トラブゾンでの声明では、アンタルヤでのCOP31に向けてプレCOP(Pre-COP、本会議前に行われる準備会合)で太平洋島しょ国への働きかけを進める方針も示された。太平洋島しょ国は気候変動の影響を強く受ける当事者として発言力を強めており、日本もこの地域との外交・支援を重視してきた経緯がある。COP31の運営を誰が主導するかという内幕は、最終的な合意文書の力点を左右しうる要素として注視する価値がある。