米ミネソタ州で鳥インフル拡大、アラスカではホッキョクグマの感染例も報告
米国のミネソタ州で家きんと野鳥の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の検出が相次いでいる。CIDRAPの報道によると、同じ時期には、2023〜24年にアラスカで死んだホッキョクグマ3頭からH5亜型(クレード2.3.4.4b、ウイルスの系統分類)のウイルスが検出されたとする研究報告も公表された。
何が起きたのか
米農務省動植物検疫局(APHIS)は、家きん農場や裏庭養鶏、七面鳥生産施設で新たに8件の発生を確認した。このうち6件がミネソタ州で、モンタナ州とウィスコンシン州でもそれぞれ1件確認された。被害が最も大きかったのはウィスコンシン州バロン郡の七面鳥生産農場の7万9100羽で、ミネソタ州スターンズ郡の2施設でも合わせて5万1500羽が発症した。
過去30日間では商業農場13件、裏庭養鶏7件の計20件が確認され、影響を受けた鳥は56万羽に上る。ミネソタ州ではこの10日間で野鳥からの検出も40件以上あり、大半はミネアポリス・セントポール都市圏の7郡に集中している。検出された鳥には、マガモやカナダガン、ハクトウワシ3羽が含まれる。
これとは別に、学術データベースのScienceDirectで、アラスカの野生のホッキョクグマ3頭が2023〜24年にH5亜型に感染していたとする報告が公表された。論文の著者らは「集団免疫が形成されつつあるとみられる」と述べている。
背景
ミネソタ州は米国有数の七面鳥生産州で、家きん経営が集中することが被害の規模につながっている可能性がある。秋は渡り鳥の移動時期にあたり、野鳥からウイルスが持ち込まれて家きんに広がる経路が指摘されてきた。
ホッキョクグマの感染は、死んだ鳥や海獣の死骸を食べることで哺乳類にウイルスが広がる経路の延長として起きたとみられる。家きんの発生は通報に基づき比較的早く公的統計に載るのに対し、野生哺乳類の感染は死んだ個体の回収や研究機関の検査を経て後から論文として明らかになる場合が多い。今回のホッキョクグマの事例もその一つといえる。
日本にとっての意味
環境省の対応技術マニュアルは、哺乳類から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された場合を全国的な対応レベルの判定対象に挙げ、死んだ哺乳類が見つかった地点の周辺を野鳥監視の重点区域に指定すると定めている。
ところが、2023年に北海道で見つかったキツネの事例では、大学が研究用に冷凍保管していた個体からウイルスが検出されたのは回収から数か月後で、その時点で現地の重点区域はすでに解除されていた。
制度上の引き金と、実際に検出が判明するタイミングとの間にずれがある点は、アラスカのホッキョクグマの事例と重なる構図といえる。日本でも例年秋は渡り鳥の飛来期にあたり、監視が強まる時期にあたる。ミネソタ州で報じられている今回の増加は、その時期と重なっている。