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ツムトア、スイスのベイエラー財団美術館の庭に3棟を分けて増築 木を避けたY字の展示棟

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スイスの建築家ペーター・ツムトア氏が、リーエンにあるベイエラー財団美術館を増築した。1997年にレンゾ・ピアノ氏が設計した本館の外の庭園に、展示棟、文化施設、事務棟の3棟を建てた。機能を1つの建物にまとめず、あえて庭に散らして周囲になじませている。

何が起きたのか

中心となるのは3階建ての展示棟「ヴィース美術館」である。平面はY字形で、もとから生えていた木を避けるように形が決められた。壁は、ジュラ山地の石灰岩を骨材に混ぜたコンクリートを突き固めてつくり、外観は温かみのある黄色になった。ブロンズの枠の大きな窓からは周りの木々が見え、最上階は屋上テラスに通じている。

平屋の「アマン・パビリオン」は、公演や講演、映画上映に使う文化施設で、オーク材の枠にはめたガラスの壁で庭とつながる。3棟目の「エルレン・トールハウス」には作品の搬出入の設備と事務所が入り、本館とは地下通路で結ばれている。

ツムトア氏は、建物がごく自然に溶け込むようにしたかったと語り、もともとそこにあったように見えると言われるのがうれしいと話す。増築した美術館は現地の9月26日から入場を限って公開し、2027年1月15日に全面開館する。

背景

今回の増築では、造園事務所のフォークト・ランドスケープ・アーキテクツと組んで庭園も整え、ルイーズ・ブルジョワらの野外作品を置いた。敷地内にある19世紀初めの建物も改修され、温室と植物の店などに生まれ変わった。

ツムトア氏は2026年、長く待たれていたロサンゼルス郡立美術館の増築も開館させている。

日本にとっての意味

巨匠の美術館に後から建物を足すとき、どこに置くかは日本でも問われてきた。上野の国立西洋美術館は、1959年にル・コルビュジエの設計で完成した本館に、2度の増築をしている。

同館によると、1979年の新館は、ケヤキやイチョウを抱き込むように本館と並べて配置され、緑の深い中庭が生まれた。1997年の企画展示館は、展示室を前庭の地下に収めた。ところが2016年に本館と敷地全体が世界遺産に登録された際、前庭の当初の設計意図が一部失われていると指摘された。同館は2020年から2022年にかけて、植栽を最小限にし、柵や彫刻の位置を開館時の姿にできるだけ戻した。

ベイエラーでは、木を守ることが増築の形を決めた。上野では、本館の設計者が描いた開けた前庭を取り戻すことが優先された。守るべき風景が何かは、敷地ごとに違う。